今回紹介する『HEKAグレインフリードッグフード』ですが、ドイツが原産国のフード。2020年に販売開始されたわりと新しめのフードですね。
こちらの記事は読者様より評価依頼を頂いたので書いています。
当サイトではこのようにドッグフードのお悩み相談をしています。もちろん料金なんか頂いていません。これやっている理由が飼い主さん達がドッグフードについてどんな悩みがあるのか?と勉強になるのでやっています。
これを続ける事がより良いサイトになると考えておりますので、何か気になるフードあればお気軽にメッセージ下さい!
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で、今回の質問内容ですが『HEKAドッグフードが同等品と比べて圧倒的に安いが品質はどうなのか?』こんな内容ですね。では解説していきます。
HEKAグレインフリードッグフードはコスパ良いのか?原材料・栄養成分値を見ながら考察していく
HEKAドッグフードは公式サイト上でもコスパの良さをアピールしています。ただ依頼内容にもあったように安くても品質はどうなのか?そこ気になりますよね。
今回依頼頂いた方はHEKAドッグフードの中でも【サーモン】を試しているとの事ですので、その原材料・栄養成分値を見ながら考察していきます。
HEKA | 原産国:ドイツ FEDIAFの基準○ 内容量:(100g /150g/1.8kg/10kg) |
【原材料表示】トラウト(マス)(冷凍25%)、サツマイモ、サーモンミール(14%)、ジャガイモデンプン、乾燥ビートパルプ、えんどう豆(乾燥)、ジャガイモ粉、加水分解タンパク質、トラウトミール(マス)(1%)、フィッシュオイル、ハーブ(乾燥、イラクサ、グラックベリーの葉、ヤロウ、フェンネル、キャラウェイ、カモミールの花、ヤドリギ、リンドウの根、セントーリー)、ベータグルカン、チコリ(乾燥)、ユッカ(乾燥)
【保証成分】 粗たんぱく質:23%以上、粗脂肪:8.5%以上 、粗繊維質:3%以下、粗灰分:8.8%
カロリー:342kcal |
この原料表示を見たときにまず感じたのがHEKAはFEDIAFの基準を満たしている、つまり総合栄養食と同等であると考えて良い。でもこの配合内容で基準満たせるのか?ビタミン・ミネラルの添加なしはさすがに無理ではないか??
です。なのでご依頼頂いた方に実物の原料表示画像を送って頂きました。
すると別で書かれていましたね。公式サイト上に記載されていないのはちょっとマイナスポイント。
これね、無添加風をアピールするために別で記載する。さらに添加物の項目に『ビタミンE』が記載されていますが、これって酸化防止剤です。他のフードだとミックストコフェロールと記載されているもの。
これら別に入っていて問題ないものではありますが、無添加感を出すために意図的に隠されている広告的な手法でこのような表示をするケースがあります。
HEKAを販売している会社の大元は25Holdings Pte. Ltd.となり、本社はシンガポール。日本への販売はそこの日本支社が販売しているのですが、ペット関連のオンラインショップをやっているだけあって広告が上手い。
こういう成分表示などの見せ方もですが、インスタグラマーを起用したタイアップ広告系もよく見かけます。
中身についての話に戻すと、残念な点が『水分値』が記載されていない事ですね。水分ってあまり意識していない方多いと思いますが、水分を抜いた場合の実質の栄養成分(乾物重量)を見るのと、全体に大して炭水化物がどの程度入っているか?それを見るのに役立つので意外と重要。
原材料表示の動物性タンパク源に黄色のマーカーを引きましたが、割合表示(%)されているのは良い。その合計値が40%、うち生(冷凍)の魚が25%でタンパク質の保証成分が23%、別に高タンパクが良い、って話ではありませんがかなり低めの数値です。
さらにこのフードってオメガ3脂肪酸源としてサーモンオイルが配合されているけど、オメガ6脂肪酸源として動物性油脂(鶏脂など)か植物性油脂が配合されるのが一般的ですが、それはなし。かなりの低脂質な内容。
低タンパクかつ低脂質になると割合として何が増えると思いますか?
そう、炭水化物・・・つまり『糖質』です。芋類の配合割合多そうですしね。
これグレインフリーのフードで良くある勘違いなのですが、『グレインフリーだから良い』って思っている人多い。グレイン(穀物)フリーのフードが流行っていますけど、グレインフリーとはイネ科植物(米、麦、トウモロコシ)を使用していないフードとなります。
でもドライフードって粒の形にするために炭水化物源が絶対に必要です。炭水化物は増粘剤のような役割も担っていますので、これがないと粒の形にできない。イネ科植物は使えないので、どうするか?芋とか豆を使います。
芋類は特に炭水化物が多い、さらにHEKAでは『ジャガイモ粉』と乾燥原料も使用しているのでより炭水化物の割合が高くなる。
犬にとって炭水化物が多いのってどうなのか?ってなるとちょっと悩みませんか??低タンパク・低脂質・高炭水化物という特徴を把握した上でこのフードを選ぶならアリです。でも『グレインフリーだから良い』と思い込まず成分値が愛犬に合っているか?そこも意識しましょう!
コスパが良いと言われているHEKAですが、このサーモンの場合、公式サイトで【3.6kg(1.8kg×2)】の価格は5,092円でした。kg単価だと1,414円/kg。私にはお値段通りかな、と感じます。
HEKAグレインフリードッグフードを検討している方に他にオススメするとしたら
やや辛口気味な評価となりましたが、当サイトではドッグフードの栄養成分値については正解がないと思っており、HEKAのスペックが合うって場合ももちろんあります。
もう一度言いますが、低タンパク・低脂質・高炭水化物という特徴を把握した上で選ぶなら良いかと思いますが、グレインフリーで安い!って感じたなら・・・うーんどうかな、と。
今回のご依頼者さんはInstagram経由でメッセージ頂いております。わたしInstagram経由でご依頼頂いた場合は絶対にその人の投稿を一通り見ることにしています。その理由はある程度わんこの特徴を掴めるから。
年齢も若いし、しっかり散歩されてドッグランにも行っている。また被毛が多いわんこなのでHEKAよりももうちょっとしっかりしたスペックのフードの方が合っていると感じます。ここまで低脂質でオメガ6脂肪酸が少ない内容だと被毛の艶が落ちてくる可能性がありますし、年齢と運動量を考慮すればもう少しタンパク値が高くても良い。
という訳でHEKAを検討している人にこれどうですか?とオススメできるフードをいくつか紹介しておきます。
コスパの良さを感じているなら〜1,500円/kg前後のフードで良いもの
HEKAの値段に魅力を感じた。1,500円/kgくらいの単価で良いフードが知りたい、って場合はまず思い浮かぶのが『アーテミス』ですね。ペットショップにも売っているのメジャーなフードですので知っている方も多いかと思います。
無難に良いフードで単価もHEKAと同程度。
グレインフリーではなく小麦グルテンフリーのフードとなりますが、トウモロコシとか米って別にアレルギー率高くないので、グレインフリーをアレルギー対策と考えているのであれば心配しなくて大丈夫です。
詳しい内容はこちらの記事を読んでみて下さい。
魚を主原料にしてコスパの良いフードに魅力を感じたのなら
HEKAの『サーモン』という主原料に魅力を感じたって場合もあるかと思います、我が家でもローテションに魚が主原料のフードは必ず取り入れるようにしていますが、問題は魚って単価が高いのでドッグフードもちょっと高くなっちゃう、って事ですね。
サーモン系でコスパが良いものなら・・・そうですね、POCHIのワイルドサーモンなんかは良いと思う。3kg包装で1,800円/kgくらいなのでHEKAよりは少し高くなりますが、コスパは良いと感じます。
あとちょっと荒技ですが、大容量のフードを買って単価を抑える、って方法もオススメ。我が家がやっている方式ですが、10kg以上の大袋買う。消費するのに時間がかかるので真空保存容器にて保管。
ドッグフードは容量が多ければ多いほど安くなるので、多頭飼いの場合は特にオススメな方法です。
大袋でも良いのであればペットカインドの『グリーントライプ&ワイルドサーモン』なんかはどうでしょう。タンパク30%、脂質16%とまあまあガッチリしたスペックですが、若くてそこそこ運動するワンコならこれくらいあっても良いかと思います。
ちなみに11.34kgの大袋なら1,800円/kgくらいまで単価落とせます。
大粒に魅力を感じたのなら
HEKAって粒の形状としては少し大きい。こちらご依頼者様より提供頂いた画像となります。(HEKAサーモン)
HEKAってちょっと変わっていて、原材料が異なる商品ラインナップ4種類あるのですが、そのそれぞれで粒のサイズが異なります。
ターキー:0.8cm
ダッグ:0.9cm
サーモン:1.0cm
ラム:1.5cm
依頼者さんとDMのやり取りをしていると、どうやらあまりにも小粒のものは噛まないため大粒の方が良さそうとの事。
では大粒でサーモン、コスパの良いフードとなると・・・ウルフインサイトのエンハンストサーモンかな。
ウルフインサイトって実はOEMのドッグフードでほぼ間違いなくプラぺ、ワンピーフードと中身一緒です。ただ国産のOEMフードは中身イマイチなもの多いけど、海外のOEMってそんなにハズレない。
ウルフインサイトがおそらく単価が一番安い。12kg袋だと1,464円/kg。HEKAとそんなに変わらない。で気になるスペックですが動物性原料65%使用のタンパク値29%、脂質13%、動物性原料の使用割合・脂肪酸数値も記載されており中々良いフード。
そして大粒です。
これなんかも良いですね!ウルフインサイトの公式サイトはYGGペットとなります。
HEKAが買えない!欠品が多い理由はおそらくOEMなので製造ロットが影響している
あとね、HEKAを調べていると良く出てくる検索ワードが『HEKA 買えない』です。つまり欠品をよく起こしている。
これね、売れているから欠品していると言うよりは『HEKAがOEMのドッグフード』ってのが影響しているはず。
OEMとはつまりドイツにあるどっかのドッグフード工場に製造依頼している訳ですが、OEMって契約で注文ロット数量が決められている事が多いですし、また当然ですが大量に注文した方が安くなる。
でも在庫リスクがあるので売上見込みがないと発注しにくい。HEKAはこの在庫リスク管理がシビア・・・そんな印象を受けます。コロナの影響はあったとは思うが、OEMだからってのは間違いなくある。
で、余談なのですがドッグフードのOEMって国内外問わず広く行われていますが、OEM自体は悪い事ではない。ただリスクはあります。一つは上記説明したような『安定供給』ですね。
あまり知られていないもう一つのリスクが『原料のコンタミ(混入)』です。
実際にHEKA公式サイトのQ &Aにこういう文言があります。
Q:フードの製造ラインは種類毎に別ですか?
A:フードの製造切り替え時、清掃などの対応は行っておりますが、1日の生産作業時に同一のラインを使用し、数種類のフードを生産させていただく場合がございます。
弊社で取り扱う、ドライフードの生産につきまして、フードの鮮度をより良い状態で保つため、受注に合わせた数の生産が可能な工場へ製造依頼を行っております。
上記の通り、複数のフードの製造時は、次のフードを生産する前に機械の清掃作業を行い、切替後製造した始めのフードは販売商品として取り扱わないよう定めさせていただいております。
しかしながら、生産ラインの中に直前に製造したフードが残ってしまうことがあり、その粒が混入しているとの報告を年に数件程いただいております状況でございます。
生産が可能な工場へ製造依頼〜ってのがつまりOEMのフードって事。で、赤文字にした部分がOEMの大きなリスクです。多くのブランドを製造するので取り扱う原料も多くなる。製造ラインの切り替えも頻繁になるので、原料や粒の混入が起こりやすい。って事。
しかもOEMの場合、販売会社は製造を委託しているので工場でどんな原料が使用されているか知らない。知りようがない。
もし混入したものがアレルギーのある原料だったら??ってなる訳ですね。
報告されているもので年数件って多いと感じませんか?気づかなかったケースもあるでしょうし・・・飼料会社で働いていた私からしますと、この混入って経験上まあまあ起こる。
このリスクをぜひ知っておいて下さい。
これが当サイトが『金虎 おさかな』ってフードをオススメしている理由。あそこは自社工場で使用する原料も制限しているので、このようなリスクが限りなく低いためです。
HEKAドッグフードについての総評|同スペック帯なら確かに安いがコスパが良いかは微妙なところ
最近記事の書き方に悩んでおり、いつもはフードの特徴を細かく書くようにしているのですが。お悩み相談系だと『他にオススメのフード』をいくつか紹介する方が親切じゃないかな、とも思い今回はこんな感じ書いてみました。
どんな書き方が飼い主さん達の役に立つか?試行錯誤中です!
で、HEKAドッグフードの総評ですが、確かに同スペック帯だとこれよりも高いフードは多い。というかほとんど高いと思います。ただHEKAがコスパ良いと言うか、他がコスパ悪い・・・そんな気がします。(それをコスパ良いとも言うが・・・)
使用している原材料から見ると妥当な価格ですね。
内容も悪くはないですが、やはり気になるのは脂肪酸バランス。オメガ6供給源がない、ってのが少し引っかかります。オメガ6(リノール酸)は必須脂肪酸となり食事から摂取しなければならないもの。ただオメガ6が不足するって事はまずありません。
様々なものに含まれており、それこそオヤツなど間食からも摂取している。むしろ過剰に摂取しているケースの方が多いと思います。
ただ主食のフードにここまで入っていないとなると・・・どうでしょう。
おやつほぼ与えない。トッピングしていない。基本的にドライフードのみ、って場合は普通に何かしらオメガ6供給源が入っているフードの方が良いと思います。
では今回はこの辺で。こちらに当サイトで評価の高かったフードをまとめたランキング記事を作成しています。フード選びに迷ったらこちらもぜひ参考にしてみて下さい。
→ドッグフードおすすめランキング表|6項目で公平な評価をしています