当サイトではドッグフードに関するお悩み相談をしていますが、愛犬の便が安定しない。ゆるゆるで困っている・・・
これ非常に多いです!
で、何とか便を安定させようと様々なフードを試してフードジプシーとなっていく。なので今回、便を安定させるにはどうするべきか?便を改善するために何を知っておくべきか?について記事を書いてみる事にしました。
先に言っておくと、便が安定しない理由はフードだけが原因とは限りません。腸の炎症性疾患の場合もあるし、気が付きにくいものだとシックハウス症候群、なんてのものも可能性としてはあります。
シックハウス症候群とは?
新築住宅なので良くあるが、住宅の建材や接着剤、塗料などから放散されるホルムアルデヒドなど揮発性有機が原因で嘔吐、下痢などを引き起こす事がある。今の建物って24時間換気システムが義務付けられているが、これはシックハウス症候群を予防するため。
シックハウス症候群は人間での話ではあるが、当然ながら人間より体の小さい犬はより影響を受けやすく、人同様に被害があると報告されている。
例えば新築の住宅を購入して犬を飼う環境が整った!いざお迎えしたが、原因不明の体調不良・・・とかならシックハウス症候群を疑った方が良い。
またフードが原因であったとしても、それがアレルギーなのか?成分的に消化しにくく消化不良が原因なのか?と原因を特定するのが難しい。
何が原因かわからないので、手当たり次第にフードを試すしかない。たまたま症状が改善したとしても原因が何かわかっていないのでそのフードの何が要因で症状が改善したのか分からない・・・
こんな現象が起こる訳です。
そんな訳で今回はドッグフードの『繊維質』に絞って愛犬の軟便・下痢改善を考えてみましょう!これで改善すれば繊維質が原因だった、となりますし、改善しなかったら原因は別にある、とわかりますからね。
では解説していきます。
そもそも『繊維質』って何?犬への効果とドッグフードの原料表示で知っておく事
ドッグフードの成分表示には『粗繊維〇〇%以下』って表示がされていますが、そもそも繊維とは何ぞや?ここから知っておきましょう。
食物繊維は炭水化物の一部で、炭水化物=糖質+食物繊維で構成されます。厳密に言えば糖質も多糖類、二糖類、単糖類・・・と分けられるのですが、ひとまず炭水化物は糖質+食物繊維、の認識でOKです。
では糖質(主にデンプン)と食物繊維の違いは何か?となると体内で分解し栄養素になるかならないか、です。糖質について、犬はデンプンを分解する消化酵素、アミラーゼを持っていない、って話を良く聞くとは思いますが、その通りで糖質を分解する能力は高くはありません。
ただ最近のドッグフードは加工技術の向上により、デンプンを消化しやすいようα化されているので消化吸収できるようになっています。(多くのドライフードはエクストルーダーという機械で製造されている)
このように糖質は犬も利用できる状態にはなっています(ドライフードの場合)。
で、食物繊維ですが、これは人間もそうですが炭水化物中に含まれる消化できない物質で、小腸で消化吸収されず大腸まで届くもの。このような感じですね。
消化されないので意味がないのか?となりますが、そうではなく人間の世界でもお腹の調子を整えるため食物繊維をしっかり摂取しましょう!みたいなのがあるじゃないですか?これは犬も同じで、食物繊維は便の状態に大きく影響します。
ただ食物繊維と言っても実は水に溶ける『水溶性食物繊維』と『不溶性食物繊維』の2種類あります。ここを理解しておかないと食物繊維と便の関係が分かりにくい。
ドッグフードの成分表示上の粗繊維は不溶性食物繊維の事
実はですね・・・ドッグフードの成分表示における『粗繊維〇〇%以下』の表記。これ粗繊維=食物繊維量、ではない、って知っていましたか?
成分表示にある『粗』の意味は微量だが他の成分が含まれれている可能性がある、って意味で繊維だと粗繊維、と表示されています。ここは特に気にする必要ありません。
食物繊維を分析する方法はサンプルを酸やアルカリで煮沸処理を行い、分解されずに残ったものを測定する、そんな方法なのですが、この方法だと水に溶ける『水溶性食物繊維』は溶けちゃっているので測定できません。
つまり成分表示の『粗繊維〇〇%以下』は食物繊維の総量ではなく、『不溶性食物繊維』の含有量です。
おまけに不溶性食物繊維であっても、この方法だとセルロースやヘミセルロースなどは半分以上分解されてしまうので、数値としてはかなり雑なもの、、、なんですよ。
要するに成分表示で見ている以上の食物繊維がドッグフードには含まれている、って事ですね。
では『不溶性食物繊維』と『水溶性食物繊維』はどう違うのか??それらを解説していきます。
『不溶性食物繊維』と『水溶性食物繊維』はどう違うのか??
水溶性食物繊維と不溶性食物繊維は作用が違っていて、水溶性食物繊維は便を軟らかくし、スムーズな排泄をしやすくします。その他にも栄養素の消化・吸収を緩やかにし、食後の急激な血糖の上昇を抑える、腸内善玉菌の餌となる、いわゆるプレバイオティクスの効果などメリットは多数あるのですが・・・
水溶性食物繊維を摂取し過ぎると下痢になりやすくなります。
一方で不溶性食物繊維は保水性が高いので水分を吸収して便のカサが膨らませ硬くする。腸内の有害物質を便に吸着させ体外に排出、また便を大きくする事で腸内部から大腸を刺激し、腸の動きを活発化させる、などの効果がありますが・・・
不溶性食物繊維を摂取し過ぎると便秘になりやすくなります。
どちらも過剰に摂取すると問題が発生するので、バランス良く2つの食物繊維を摂取する事が重要、、、なのですが、先述した通り成分表示の『粗繊維』の数値は当てにならないので困る訳です。
ただ今回は『軟便・下痢の改善』をテーマにしていますので、『不溶性食物繊維』を多めに摂取すれば便の状態が改善する可能性がある、って事ですね!
愛犬の軟便・下痢を改善する具体的な手順
では粗繊維とは何ぞや?を理解したところで具体的に愛犬の軟便・下痢を改善していく手順です。
冒頭にも言いましたが、原因はフードだけにあるとは限りません。あくまでも食物繊維が影響している場合のみ効果があります。ただ食物繊維量(不溶性食物繊維)を増やして効果が無かったとしても『食物繊維が原因ではなかった』これが分かるのは重要ですよね!
①キャベツをトッピングに少量与える(ボイルして細かく刻み少量ずつ)
ドッグフード全然関係ありませんが、まず試してみるオススメの方法として、キャベツを与えてみる・・・です。
というのもドッグフードの原材料表示に記載されているのは『不溶性食物繊維』の一部であると解説してきました。その理論でいけば表示上の繊維量が多いフードを与えれば軟便・下痢が改善する事はあり得ます。
ただ主原料が大きく変わってしまうと食物繊維が原因だったのか、他が原因だったのか分からない・・・
なのでまずはキャベツを少しづつ与えてみて、愛犬の便の状態に変化があるか、そこを観察するのをオススメします!
ちなみになぜキャベツか?これは単純に不溶性食物繊維の割合が多く(100g中食物繊維は1.8gで、そのうち1.4gが不溶性食物繊維)、大体冷蔵庫にある身近な食材だから。別にキャベツでなくても良いです。『不溶性食物繊維 多く含む食材』とかでネットで検索してみて愛犬が食べれそうなものを探してみて下さい。
またキャベツをどう与えるか?ですがボイルして加熱し細かく刻む、が良いかと思います。ボイルすればキャベツに含まれるシュウ酸も減りますしね。
注意
ただしキャベツにはシュウ酸が豊富に含まれており、体内でカルシウムと結合しシュウ酸カルシウムになる。これが結石の原因になる可能性があります。既に尿路結石や腎臓結石の病歴がある場合は避けた方が良いでしょう。特に何もなければ少量与える程度なら心配する必要はありません。
繊維量で改善するようならドッグフードの切り替えを検討してみる
キャベツをトッピングで少量与えてみる。それで数日様子を見て効果を多少でも感じたのであれば不溶性食物繊維を増やす事によって軟便・下痢が改善する可能性が出てきます。
ここでまずする事は今与えているドッグフードの成分表示を見て『乾物重量』での数値を把握する!!です。
乾物重量とは?
ドッグフードの成分表示には『水分』も含まれている。フードによって水分値は幅があるので、細かく成分値を比較する場合は水分のない状態・・・つまり乾物重量でみる必要があります。
では具体的に実際の原材料表示を見ながら計算してみましょう。
こちら当サイトで国産のプレミアムドッグフードならオススメしている『金虎 おさかな』の成分表示です。
繊維の割合自体はそこまで高くないので乾物重量にしても大きく変わりませんが、今回は軟便・下痢を改善しよう!が目的なので細かく見ておきましょう。
繊維量はAAFCOで基準値定められておらず各メーカーがこのくらいがベストかな、と設計しているのですが大体5〜8%くらいになるはずです。
※国産の有名どころプレミアムドッグフードで極端に繊維量が少ないものがあります。そいういう場合は特にフードの切り替えで軟便・下痢が改善する可能性が高いです。
今回は『金虎 おさかな』で計算してみましたが、このフードだと繊維の乾物重量が5.56%。これより乾物重量で繊維量が多いフードを探せば良いのですが・・・
そうは言っても面倒だし難しいですよね?
という訳で1つ良いフードを紹介しておきます。
POCHIザ・ドッグフード
こちら当サイトのInstagramに届いたDMなのですが・・・
実はこの方に限らず、何人からかポチに変えたら便の状態が良くなった、って話聞いた事あります。これね、実際に成分値を見て見ましょう。
ダイジェスティブ 小型犬成犬用・骨抜きチキン&玄米 | 原産国:オランダ 内容量:1kg、3kg |
【原材料表示】 ラム生肉、フィッシュペプチド、ソラ豆、スイートポテト、エンドウ豆プロテイン、リンゴ、動物性脂肪(ビーフ、ポルトリー)、アルファルファ、キャロブ繊維、サッカロマイセス・セレビシエ(酵母菌/プロバイオティクス)、セルロース、チキンレバー(加水分解)、サーモン油(EPA・DHA・アスタキサンチン源)、ケルプ、ブレンドハーブ(ペパーミント、カレンデュラ、クミン、カモミール、マーシュマロウ、ダンデライオン)、イヌリン(FOS源/プレバイオティクス)、クランベリー、緑イ貝、βグルカン(イースト抽出物)、ミネラル類(Ca、Fe、Mn、Cu、Zn、I、Se)、ビタミン類(A、D3、E、K3、B1、B2、ナイアシン、パントテン酸、B6、B12、ビオチン、塩化コリン、葉酸、C)、タウリン、酸化防止剤(トコフェロール、緑茶抽出物) 【保証成分】 タンパク質 30%以上、脂質 10%以上、粗繊維 7.1%以下、灰分 7.2%以下、水分 10%以下
カルシウム 0.93%、リン 0.78%、タウリン 0.7g/kg、EPA 1.0g/kg、DHA 2.5g/kg 代謝カロリー 315kcal/100g |
(ポチにはいくつかの商品ラインナップがありますが、代表してラムベースのものを紹介していますが、どの商品も粗繊維量がやや高めの設計)
ポチって最近だとペットショップでも取り扱っている事もあり購入しやすいフード。内容も結構良い。
で、注目すべきは粗繊維量が程よく多い。これだと7.1%となっていますが、乾物重量に計算すると(7.1)÷(100−10)×100=7.9%ですね。このあたりの成分値のものってあまりありません。
もちろん体重管理用の療法食レベルのものになると、超高繊維のものもあります。例えばロイヤルカナンの『満腹感サポートドライ』、これなんかだと表示上の粗繊維は17.8%、水分値が10.5%なので乾物重量だと(17.5)÷(100−10.5)×100=19.6%、こんなにあるのですが・・・
既に説明した通り、実際はこれ以上に食物繊維は含まれており、食物繊維自体は栄養素として吸収できないものです。それがこんなに配合されていればそりゃ痩せますよね?
今すぐ体重を落とさなければ健康上重大な問題がある、、、とかならこういう内容のフードはありでしょうが、健康なワンコならここまで極端なものはどうなのか?軟便・下痢改善というより違う問題が出てきます。
なので程よく繊維量が多い、ってのが大事で、そういうフードを探している方はぜひ『 POCHIザ・ドッグフード』を試してみて下さい。
→YahooショッピングでPOCHIザ・ドッグフードを見てみる
食物繊維がどんなものか理解すれば愛犬の軟便・下痢対策もしやすくなる!
さて、今回は愛犬の軟便・下痢対策で『食物繊維』にフォーカスして記事を書いてみました。
これね、内容的には『繊維量を今より多めに摂取させてみましょう』、ってだけです。記事の主要な部分については他のサイトと内容的に何にも変わらない。
ですが、そもそも食物繊維何なのか?ドッグフードの成分表示上の粗繊維ってどういう事か?って知識がないと問題を解決するのって難しいと思うんですよ。
勉強も公式を丸暗記するのではなく、なぜその公式が導き出されるか?まで理解した方が理解が深まりますよね。それと同じ事です。
当サイトでは様々な飼い主さんのドッグフードに関するお悩み相談を行なってきましたが、軟便・下痢に関する相談は非常に多い。そして共通して言えることが『フードのみが原因と疑っている』、『フードの良し悪しを判断するのが早すぎる』です。
フードのみを原因と疑っている、については冒頭でも言いましたが、フード以外が原因って可能性もあります。場合によっては動物病院で相談すべき事が原因になっているかも知れませんので、フード以外の可能性も疑ってみましょう。
そして次にお腹の弱いワンコは特にフード切り替え直後はどんなに良いフードであっても便が安定するまで時間が掛かる事が多い。すぐに改善されないから『ダメ』と判断するのではなく、少し長い期間様子をみてあげて下さい。(もちろんアレルギーが出た、とかなら別ですけどね)
では今回はこの辺で。この記事が好評でしたら『タンパク』『脂質』『ミネラル』など他の成分についての記事も書いてみようかな、と考えています。
こちらの記事もオススメ。普段お肉系のオヤツを与えているなら・・・ぜひ魚系のオヤツも取り入れてやって下さい!健康上のメリットが色々とあります!