突然ですが、私はSNS(特にInstagram)でドッグフードに関する情報発信をしています。するとたまに『このドッグフードって安全だと思いますか?』と言った質問が届くのですが・・・
一番多く質問されるドッグフードがエルモなんですよね。
これには理由があって、エルモって大手ペットショップクー&リクでわんこをお迎えすると定期購入を勧められるドッグフードです。クー&リクはネット上では評判が良くなくそれで『うちの子に与えているエルモってドッグフード・・・大丈夫なんだろうか・・・』このように不安になる。
今回こちらの記事ではドッグフードエルモに関してその品質を徹底評価しています。上記のような理由で不安に思っている飼い主さんはぜひ一読してみて下さい。
愛犬の健康に直結するドッグフード。動物栄養学に関して素人が製品評価しても信用できないでしょう。私は大学では動物営業学を専攻。その流れで飼料メーカーに入社し毎日のように飼料の配合設計をしてきた実務経験があります。もちろんペットフード案件にも多数関わっています。なので安心して下さいね。
ちなみに結論としては悪いフードじゃありません。現在定期購入していてアレルギーなど特に問題なければすぐに切り替える必要はありませんよ!
クーリクがドッグフードエルモの定期購入を勧めてくる理由
まずエルモの評価をする前になぜクーリクがエルモの定期購入を勧めてくるのか?それについて解説していきます。
なぜ定期購入を勧めてくるのか?それは単純な話で儲かるからです。
定期購入とはつまりサブスクです。動画配信サービスなんかを想像して貰えば良いですが、1度契約したサブスクってよっぽどの事がない限り中々解約しないじゃないですか?あれと同じです。
特にドッグフードは愛犬が特に問題なく食べていれば他のものに切り替えるタイミングって中々ありません。
サブスクってビジネスの世界だとストック型と呼ばれ、このメリットは安定的な収益を見込める事です。ストック型の反対はフロー型と呼ばれます。一度売ってしまえばそれで終わりの売切型ですね。
ストック型とフロー型の例
フロー型:ペットショップでわんこの玩具を買う
ストック型:ドッグフードの定期購入をする
ドッグフードの定期購入は安定して収益を見込めるし、契約している間は営業する必要もありません。これが企業にとって非常に大きな利点です。
試しにネットで高評価されている、つまりよく売れているドッグフードの公式サイトをみて下さい。まず間違いなく定期購入を勧めてくるはずです。
クーリクは生体販売とセットでドッグフードのサブスクを販売している。つまり生体販売というフロー型とドッグフードのストック型を組み合わせた販売方法をとっている。中々やりますよね・・・笑
なぜクーリクがドッグフードの定期購入を勧めてくるのか?それについて分かって頂けたかと思います。では余談はここまでにしてエルモのドッグフードの評価をしていきましょう。
ドッグフードエルモ(ELMO)の原材料品質・原料表示の情報量について(22点/30点)
当サイトではドッグフードの評価基準として6つの項目を採用し100点満点形式にて評価しています。詳しい評価内容を知りたいという場合はこちらの記事を読んでみて下さい。
→ドッグフードランキングサイトが信用できない理由|当サイトが信用されるよう取り組む事
最も重要視している原材料の品質と原料表示の情報量についてです。
※エルモにはいくつか種類ありますが、今回は最も一般的な『リッチインチキン』について評価しています。
ドッグフードエルモ(ELMO)の使用原料について(12点/15点)
ドッグフードエルモ(リッチインチキン)で使用されている肉類は『鶏肉』のみとなります。主要な植物原料としては米とトウモロコシですね。ドッグフードの原料表示は最も配合割合が多いものから記載するルールがありますので、エルモは鶏肉が最も多く配合されているという事がわかります。
米とトウモロコシは穀物ですので最近よく聞く『グレインフリー 』とは言えません。確かに穀類はアレルギーの原因となる可能性はあります。ただアレルギーに関しては鶏、豚、牛、魚、、、、どんなタンパク質であってもアレルギーになる可能性はある。穀類が入っているからと言って必ずしも危険とは言えません。
実際に犬におけるアレルギーの原因(アレルゲン)としてトウモロコシや米はそこまで多くなく、牛肉・乳製品の方が多いという研究発表もあります。
注意すべきは小麦です。小麦に含まれるタンパク質の一種である『グルテン』はアレルギーの原因になる傾向は高い。エルモでは小麦は使われていませんので、原料由来のアレルギー対策は十分と判断して良いでしょう。
グレインフリー :穀物全般使用していない
グルテンフリー:小麦、大麦、ライ麦を使用していない
愛犬がグレイン(穀物)アレルギーであるなら当然避けるべきですが、そうではない場合、過度に心配する必要はありません。
その他の原料を簡単に解説しておくと・・・
- ビートパルプ:日本語で言うと甜菜(テンサイ)やサトウダイコンと呼ばれる野菜から砂糖を作る過程で発生する副産物。繊維質としてドッグフードによく利用されており腸内環境を整える効果がある。ネットでたまに悪い原料と評価されている事があるが、特に問題ない。
- ビール酵母:犬にとっての必須アミノ酸を多く含んでおり、腸内環境を整える効果がある事から品質の良いドックフードに使われている事が多い
- コーングルテンミール:トウモロコシからコーンスターチを作る過程で発生する副産物。タンパク源として利用されており、養鶏用の飼料によく使われる。危険性は特にない。
- タンパク加水分解物:これを詳しく説明するとかなり長くなるので簡単に説明すると、水の力で分解したタンパク質。利点としては分子構造が分解されるためアレルゲンとして認識されにくく、アレルギー反応を起こしにくい。生成過程で発がん性物質が派生すると言う話もあるが、そこまで気にしたらキリがない。メリットの方が大きい。
- マンナンオリゴ糖:グルコースとマンノースから構成される物質で腸内環境を整える効果がある。
- キシロオリゴ糖:食物繊維の一種キシランを酵素分解したもの。腸内環境を整える効果がある。
- ユッカシジゲラ:ユッカという植物なすいら抽出されたもの。腸内環境を整える効果があり、便臭を抑える効果があるという研究発表がある。
- スピルリナ:藻類の一種で人間用でもスーパーフードとしてサプリメントで使われていたりする。ビタミンAやB12が多く含まており鉄分も豊富。メリットは多い。
- 加水分解甲殻類(グルコサミン源):エビやカニの殻の主成分であるキチンを加水分解してグルコサミンにしたもの。関節や軟骨のサポートをする効果があり、人間のサプリメントにも使われる。
長々と書きましたが、総合するとエルモには特に危険な原料は使用されておりません。肉類が鶏肉のみ、というのも1種類であれば仮にアレルギー症状が発症した場合、何が原因なのか特定しやすい、そんな利点があるので別に悪くはない。
コストを下げるためタンパク値が比較的高いコーングルテンミールを配合、鶏肉の配合割合を減らしている、など予想できますがこれは配合設計の工夫の範疇です。多少の減点として-3点。原料の品質ですが、『イタリアの品質に優れた原材料』と公式サイトには記載されています。これは信じるしかないので特に減点はなし。
エルモの使用原料は15点満点中12点と当サイトでは評価します。
ドッグフードエルモ(ELMO)の原料表示の情報量について(10点/15点)
ドッグフードの原料表示は多いものから順に記載するルールがありますが、各原料が何%配合されいるかの割合までは記載する義務はありません。実際にプレミアムドッグフードとして販売されている多くのドッグフードも%表示まではしていません。
エルモ原料表示表はこちらになります。
鶏肉、米、トウモロコシ、鶏脂、ビートパルプ、ビール酵母、コーングルテンミール、タンパク加水分解物、サーモン、サーモンオイル、ミネラル類、マンナンオリゴ糖(MOS)、キシロオリゴ糖(XOS)、ユッカシジゲラ、スピルリナ粉末、加水分解甲殻類(グルコサミン源)、加水分解軟骨(コンドロイチン源)
わかりやすいよう原料表示の情報が充実しているモグワンの原料表示を見てみましょう。
チキン&サーモン56%(チキン生肉21%、生サーモン12%、乾燥チキン12%、乾燥サーモン7%、チキングレイビー2%、サーモンオイル2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(A、D3、E)、乳酸菌
動物性タンパク源の配合割合(%)までしっかり記載していると製品スペックが判断しやすい。逆に言えば%表示をしなければ配合設計を工夫する事によってある程度誤魔化せます。
ただこれはエルモが悪いというより、%表示しているドッグフードはほとんどありません。パッと思いつくのはモグワン、オリジンくらいですかね。
実はエルモって製品リニューアル前までは%表示していたんですよ。それで非常に高評価していました。しかしリニューアル後は%表示が消えた。謎ですよね・・・笑
%表示はしていませんが、その他必要な情報は記載されているので15点満点中10点と当サイトでは評価します。
ドッグフードエルモ(ELMO)の栄養成分値・栄養バランスについて(15点/20点)
では次にエルモの栄養成分値を見ていきます。
まずドッグフードの栄養基準として一番わかりやすい指標である『タンパク質』について。エルモの場合26%以上ですがこれは問題ない。プレミアムドッグフードはざっくりですが25〜28%くらいの値になるよう設計されています。十分な量と言えます。
若干気になるのは粗脂肪が14%と多いこと。これは鶏脂を使用している事が要因かと思われますが、やや多い。ただしこれにはメリットもあって鶏脂にはリノール酸というオメガ6脂肪酸が多く含まれています。
オメガ6脂肪酸はわんこにとって必須脂肪酸であり、皮膚の健康維持、被毛の艶などに効果があります。一方でカロリーが高くなるので肥満の原因にもなる。もちろん給餌量によって調整すれば良いのですが・・・判断に悩むところですね・・・笑
もし今エルモを与えているのであれば愛犬の肥満度を考慮した上で与えてあげて下さい。太り気味であればパッケージに記載されている給餌量より少し減らす方が良いでしょう。カロリーが高めなので多く与えてしまうと肥満になりやすくなります。
栄養バランスとして悪くはないのですが、やや与えるのに注意する必要がある。肥満は様々な病気の要因になりますからね。その点考慮すると若干の減点を行い−5点。
当サイトでは20点満点中15点と評価します。
ドッグフードエルモ(ELMO)は安全への取り組みを行なっているか(15点/20点)
エルモは海外製(イタリア)のドッグフードとなります。ここは私のリサーチ力不足もあるのですが、海外製のものは安全への取り組みについて情報集めにくい・・・
ただエルモを製造しているのはイタリアのMonge&C.S.p.a社。イタリアでは大手の製造メーカーです。公式サイトでは『イタリア現地のトリノ大学・ボローニャ大学と連携し、の大学動物栄養学の最新の研究を行い、最適な栄養バランスとともに、研究から導かれた便質改善や免疫力向上といった成果を、フード開発に活かしている』との記述があります。企業規模から安全性について一定の評価はして良いでしょう。
実際にアレルギー対策や腸内環境の改善などしっかり考えた上で配合設計しているな・・・って事は感じられます。
実は海外製のドッグフードって怪しいもの多くて、あのネットで超高評価されているモグワンだってどこの工場で作っているかイマイチわからない・・・って知っていました??笑
モグワンの公式サイトにはこのように記載されています。
モグワンドッグフードが作られているのは、ペット先進国イギリスの中でも特に高い評価と信頼を集めるペットフード専門工場です。
いやじゃあそれどこなの??とツッコミたくありません??
言葉だけなら何とも言えますよね。安全性をそこまでアピールするのであれば製造元がどこかは公表しようよ・・・ってね。
海外製ドッグフードはこういうの多いです。その点どこの会社が製造しているかわかるエルモはまだマシです。
評価としてマイナスする要素はそこまでないのですが、工場内の様子や安全への取り組みについてしっかり情報公開している海外メーカーもあります。例えばオリジンを製造しているカナダのチャンピオンペットフーズ社とかですね。あれは中々すごい。YouTubeで公開されているので興味があれば見て下さい。
という訳でマイナス要因はないものの上には上がいる。なので若干のマイナスをして安全性への取り組みについては20点満点中15点が当サイトの評価となります。
ドッグフードエルモ(ELMO)は人工の酸化防止剤・着色料を使用していないか(10点/10点)
エルモに使われている酸化防止剤はトコフェロールとローズマリー抽出物です。これは自然由来のものなので問題なし。
香料として栗エキスが使われていますがこれも自然由来。危険な添加物系は使われていませんので10点満点が当サイトの評価となります。
ドッグフードエルモ(ELMO)の製造方法について(5点/10点)
製造方法についてまでしっかり紹介しているドッグフードは少なく、特に海外製品はほぼわかりません。一応エルモの紹介動画で工場内部がチラッと写っていますがそこから判断するのはちょっと難しい・・・
ただし私は飼料メーカーで働いていましたので実物を見ればだいたいどういうものかは予想できます。エルモの粒はこちら 。

エルモ リッチインチキンの粒
形状や質感からエクストルーダーという機械で製造されたものですね。油は少し外添されているはずです。どうもネットのドッグフード評価サイトって油の外添をオイルコーティングと呼んで、ダメなものとして扱っている事多いですが、別にこれダメって訳じゃありません。
確かにベタッとした印象を受けます。嗜好性を高くする・・・ってのもありますが、それよりも添加物など油と一緒に混ぜてコーティングした方が良い、って場合もありますからね!
何か品質を良くするために特殊な製造方法を行なっているとは言えませんが、一般的なドッグフードの製造方法で作られている。そんな印象です。なので製造方法の評価としては10点満点中5点の評価にしておきます。
ドッグフードエルモ(ELMO)はスペックに見合った価格であるか?8点/10点
多くのドッグフード評価サイトでは単純に価格を評価していますが、当サイトではスペックを考慮した上で評価していきます。だって良い原料使っていたら高いのは当然ですし、安くても原料がダメで品質悪かったらこれもダメですよね?
ではエルモと同じように鶏肉を主原料としているフード、その中でもドッグフード評価サイトで評価の高いものと比較していきます。
エルモ | このこごはん | うまか | |
タンパク値 | 26% | 21.3% | 21.4% |
通常価格 | 1,723円/kg ※3kg包装 | 運賃込 4,700円/kg | 運賃込 3,320円/kg |
定期価格(最大割引時) | 〃 | 運賃込 3,703円/kg | 運賃込 2,921円/kg |
※このこごはんは定期割引1回の配送で1kg×2袋で割引。運賃850円 うまかは1回に3袋配送で送料無料の割引適用。
さて、これ見てどう思いますか??
ドッグフード評価サイトで高評価されているやつ。特にこのこごはんなんかは有名なので広告見かけた人も多いかと思います。
ドッグフードの原価において一番コストが高いものは動物性タンパク源、つまり肉や魚です。そしてその配合割合が多いほど基本的にはタンパク値が高くなります。エルモって意外とコスパ良い気がしません??
ちなみにエルモの値段は楽天の公式ショップ価格です。送料無料。
まあ、『このこごはん』『うまか』がそれほどこだわっていて高級な鶏肉を使っている、と言われればそれまでですがタンパク値を考慮するとエルモって悪くない。むしろコスパ良い。
特に『このこごはん』に関してはあれどう考えても高すぎます。製品が悪いとは言いませんよ?スペックに対しての価格がです。完全にお金儲けしか考えていないアフェリエイターの影響ですね・・・笑
参考までにネットで一番評価が高いであろうモグワンについて。あれは鶏肉とサーモンが主原料なのでエルモと比較しにくいですが、鶏肉よりもサーモンの方が圧倒的に原価高いです。そしてタンパク値は27%とエルモより高い。
さらに定期割引MAXまで適用すると1,935円/kgになります。これに関しては・・・コスパ良いと思います。売れるのも良くわかる。
話を戻すとエルモのスペックに対する評価ですが、かなり良い。当サイトでは10点満点中8点の評価としました。
ドッグフードエルモ(ELMO)の当サイト総合的な評価はコスパ良くて悪くない(75点)
では総合的な評価ですが、当サイトではエルモの評価を75点としました。
プレミアムドッグフードと言っても良い十分なスペック。価格も妥当なライン。原料も危険なものは使用していません。若干カロリーが高いという特徴はありますが、同時にわんこにとって必須脂肪酸であるオメガ6脂肪酸が豊富に含まれているというメリットもある。
十分良いフードですよ!
あと今回はエルモのリッチインチキンを評価しましたが、実はエルモってかなりの種類があり、例えばドッグフードの原料としては珍しいウサギ肉を使用した『ウザギ肉・ライス&ポテト』、ウサギ肉は新奇タンパク質と言っても良いのでアレルギーに悩むわんこなら試してみる価値あり。
新奇タンパク質とは
これまで食べた事のないタンパク質を与えると免疫の過剰反応・・・つまりアレルギーの発症を抑えられる事がある。基本的によく使われている原料ほどアレルギーは発症しやすい(ドッグフードなら鶏肉や牛肉など)。
新奇タンパク質はウサギ肉の他にカンガルーやワニ肉などもある。
他にも原料お70%以上が有機栽培農作物を使用しているオーガニックシリーズ、動物性タンパク源が65%以上、高タンパクフードのビーワイルドなど種類が豊富。
わんこの体質や性格、嗜好性に合ったフードを見つけやすく、エルモブランドトータルとして考えればもっと評価高くても良いと思っています。
という訳でクー&リクでお迎えして定期購入しているから心配って飼い主さん、気持ちはわかります。なぜ気持ちがわかるか?我が家の愛犬もクー&リクからお迎えしているんですよ・・・笑
クー&リクはともかく、エルモは別に悪いフードじゃありません。今定期購入していて愛犬が特に問題ないのであれば急いで他のフードに切り替える必要はないでしょう。
ただ注意点として与えるフードの量ですが、パッケージに記載されている量だけで判断するのではなく、カロリーが多めの設計なので特に肥満傾向であるならば規定量より減らす、などしてあげて下さいね。
意外とパッケージに記載されている適正給餌量・・・見ずに感覚で与えている方も多いのではないでしょうか?
ではエルモについてはこの辺で。こちらの記事が参考になりましたら幸いです。