今回紹介するのは『ウルフブラッド(wolfsblut)』、原産国はドイツのプレミアムドッグフード。ドイツの市場調査機関Konzept & Markt社に2015年と2017年でドイツで最も人気があるフードとして発表されているフードですね。
商品ラインナップも多いし、原材料表示も非常に詳しく記載されている。また小型犬向けと中・大型犬向けとサイズ展開もある。ただサイズが違うだけじゃなく、犬のサイズに応じた代謝特性をしっかり意識した上での配合内容。
当サイトとしても自信を持ってオススメできる内容です。
ちなみにウルフブラッドは2020年にALPHA PETに買収されています。

ALPHA PETとは何者か?と言いますと簡単に言えば色々なブランドを買収(M&A)している企業、ですね。
ウルフブラッドだけじゃなく、イギリスの『Arden Grange』、ドイツのオーガニック系大手『Herrmann's Manufaktur』なども傘下にしており、プレミアム系のメーカーに絞って買収している、そんな印象があります。
日本のプレミアムドッグフード業界はOEMばかりなので各メーカーに独自性がなく、こういう買収劇っておそらくないでしょうが、良くも悪くも海外は派手ですね・・・笑
この『買収』ってのはややマイナスなイメージがあるかもですが、『オリジン・アカナ』もマース社に買収されているし、『ZIWI』だって中国のFountainVest Partners社に買収されています。ドッグフードって世界的見るとそういう業界です。
気にする人は気にしますが、買収されたと言っても品質面はそこまで心配する必要はないと考えています。というか気にしてもどうしようもないですからね・・・
ではウルフブラッドについて解説していきます。
ウルフブラッドの良い点|原材料表示の情報量、ここが良い!

海外製ドッグフードの場合、例外はありますが良いフードって原材料表示の情報量が豊富。これは間違いなくあります。
さっそくウルフブラッドの原材料表示を見てみましょう。ウルフブラッドは色々と種類がありますが、魚系をまずはピックアップ。
注目して頂きたいポイントは原材料表示が割合(%)表示されている点。海外製プレミアムドッグフードの場合、割合表示があるものもありますが、動物性原料のみってパターンが多いです。
ウルフブラッドの良いのは『動物性原料でも加工状態別に割合を記載』、そして『植物性原料の割合も表示』、この2点が素晴らしい!
これがなぜ良いか?解説していきます。
動物性原料|加工状態別で記載されている利点

ドッグフードには『新鮮な〇〇をたっぷり使用』みたいな表現がされる事多いですが、じゃあそれって何%使用しているの??ってなりますよね。まず割合(%)表示している時点で良い。
さらに使用割合を記載してかつ原料加工状態別に詳しく記載。ここが良いです。
単純に魚由来の原料52%使用しています。これだと生の魚なのか?乾燥原料なのか??ここが分からない。
すると保証成分上のタンパク質が何由来かわかりにくい。

わかりやすいよう人間の食べ物で例えると生肉(ステーキ)は水分量が多いので実質のタンパク質として見ればそう多くありません。
一方でビーフジャーキーは水分を蒸発、乾燥させているのでタンパク質含有量が高くなる。これドッグフードの使用原料でも同じ現象が起こり、乾燥させた原料の方が同じ重さであれば生肉よりタンパク質を摂取しやすい。
ものによって違いますが、生肉と乾燥原料を比べた場合、ざっくり3倍くらいはタンパク質含有量が違ってきます。
生肉は熱加工されていない原料なのでタンパク質自体の品質は良い。これがメリットではあるが、タンパク質『量』としては期待できない。乾燥原料は〇〇ミールのように品質が悪いものから、低温でゆっくり乾燥させた高品質なものまで品質に幅があり、そこを見極めるのは困難ではあるが、同じ重さの生肉と比べるとタンパク質『量』は摂取しやすい。
このような特徴があります。
ペットショップで販売されているもので『Nowフレッシュ』ってフードがあるじゃないですか?あれのコンセプトって動物性原料はフレッシュ、つまり生肉ですが、でも生肉オンリーだとタンパク質量が少なくなる。そういう弱点もある、って事です。
ウルフブラッドは生肉と乾燥原料を併用した形になりますが、このように生肉と乾燥原料のそれぞれ使用割合を記載してくれている、ってのは高評価ポイントですね!
植物性原料の割合表示があると誤魔化しがしにくくなる

生肉と乾燥原料ではタンパク質含有量が違ってくる、と言いましたがこれは植物性原料も同じです。
植物性原料での乾燥原料、つまりタンパク質を濃縮したものは原料名だと『エンドウマメプロテイン』、『ライスプロテイン』、『コーングルテンミール』などなど色々とありますが、これらはタンパク質含有量が非常に高い。
例えば水分量が多く重い生肉を第一原料にできる程度配合。でもここからのタンパク質供給はあまり期待できないので、植物性の乾燥原料を使ってタンパク質を補強。これは水分値が低いので軽い。つまり少量でも保証成分上のタンパク値を上げる事ができる。
このような事も可能です。
他にも原材料の表示順を植物性原料をうまく使って操作するなど・・・当サイトのInstagramではそういう内容も投稿していますので良かったらフォローして下さい!
要するに植物性原料の割合表示まですると誤魔化しが出来なくなるって事です。
先ほど紹介したフードだとメインの植物性原料は『スイートポテト 14%;じゃがいも 14%』となりますが、これは生の状態のものと分かりますし、ここからのタンパク質供給はほぼない。メインは魚(マス)由来であると判断できますね。
ウルフブラッドの使用原料および保証成分を評価

ではウルフドッグの原料および保証成分を詳しく見ていきましょう!先ほど魚ベースのものを紹介したので、ここでは『ブラックバード スモールブリード ターキーとスイートポテト』、七面鳥をメインとした小型犬向けフードを見ていきます。
ブラックバード スモールブリード ターキーとスイートポテト | 原産国:ドイツ |
【原材料】 七面鳥 52% (新鮮な七面鳥肉 26%、七面鳥肉 (乾燥) 20%、七面鳥脂肪 6%);スイートポテト 21%;かぼちゃ 4%;パースニップ;ひよこ豆;ジャガイモタンパク質;ミネラル;ウイキョウ 2%;キクイモ;亜麻仁;トマト;タイム 0.1%;マジョラム 0.1%;オレガノ 0.1%;パセリ 0.1%;セージ 0.1%;マンナンオリゴ糖 (プレバイオティックス);フラクトオリゴ糖 (プレバイオティックス);酵母;柑橘類抽出物;ブラックベリー 0.1%;ラズベリー 0.1%;ブルーベリー 0.1%;クロスグリ;エルダーベリー;アロニアベリー;イラクサ;サンザシ;タンポポ;高麗人参;ユッカシジゲラ抽出物 【栄養添加物(1kgあたり) ビタミンA (酢酸レチニルとして) 25.730IU;ビタミンD3 (コレカルシフェロールとして) 1.730IU;ビタミンE (酢酸オールラックα-トコフェロールとして) 835mg 微量元素:鉄 (硫酸第一鉄一水和物およびアミノ酸鉄キレート水和物として) 95mg;亜鉛 (硫酸亜鉛一水和物およびアミノ酸亜鉛キレート水和物として) 150mg;マンガン (硫酸マンガン (II)として、 一水和物) 36mg;銅 (硫酸銅 (Ⅱ) 五水和物およびアミノ酸銅 (Ⅱ) キレート水和物として) 15mg;ヨウ素 (無水ヨウ素酸カルシウムとして) 0.96mg;セレン (亜セレン酸ナトリウムとして) 0.23mg;アミノ酸:DL-メチオニン 2.126mg;タウリン 1.000mg;L-カルニチン 82mg 【保証成分】 粗タンパク質 32%;粗脂肪 16%;粗灰分 8.5%;粗繊維 3.5%;水分 8% 376.66kcal/100g |
タンパク質源について
まずはタンパク質源について。ドッグフードでは使用原料の重い順に記載するルールがありますが、一番最初に記載されているもの。つまり一番重い原料は『第一原料』と呼ばれたりします。
このフードだと『七面鳥 52% (新鮮な七面鳥肉 26%、七面鳥肉 (乾燥) 20%、七面鳥脂肪 6%)』ですね。
タンパク質源としては新鮮な七面鳥肉 26%、七面鳥肉 (乾燥) 20%、ここになります。新鮮な七面鳥とは生肉の事。先ほども説明したように生肉と乾燥原料を併用した形となります。
スイートポテト(サツマイモ)、カボチャなどにももちろんタンパク質は含まれていますが、これらは生の状態もものでしょうし、そこまでタンパク質量は多くない。ジャガイモタンパク質、これはポテトプロテインを表記される事もある原料ですが、これはじゃがいも由来のタンパク質を濃縮したもの。
ただしかぼちゃ 4%以下と考えれば配合量はそこまで多くないので、気にしなくても良いレベルと言えます。
やはりアミノ酸バランスや吸収性を考慮すると動物性タンパク質の方が犬にとっては望ましいですが、このフードであればほぼほぼ七面鳥由来のタンパク質と考えて良いですね。
タンパク質源としては非常に良い内容と言えます。
脂質源について
次に脂質源について。
ウルフブラッドには脂質源の使い方に大きな特徴があります。ブラックバード(七面鳥)の場合、七面鳥脂肪が使用されていますが、このように主原料と同じものが脂質源として使われてる。
つまり他にも馬、ダッグ、ラム&サーモン、など色々とあるのですがそのタンパク質源と同じものが脂質源として使われています。馬なら馬脂肪、ラム&サーモンならラム脂肪とサーモンオイル、って感じですね。
この利点として1つは『アレルギー対策』です。精製したオイルってその製造過程でタンパク質は取り除かれるので、アレルギーについてはそこまで心配する必要はありません。だから動物性の脂質としては鳥脂肪(チキンオイル)が安価なのでよく使われるのですが・・・
完全に取り除かれているか?となると100%ではない。
飼い主としては避けれるものなら避けたいですよね?
なのでアレルギー対策として単一プロテインのフードを選ぶ場合、同じ脂質源を使用している。これは飼い主にとってプラス要素なんじゃないか、と。※鹿系のものはラム脂肪が使用されています。
一方でデメリットと言えばオメガ3系脂肪酸ですね。
犬にとって必須脂肪酸、つまり体内で合成できないので食べ物から摂取する必要があるのはオメガ6脂肪酸(リノール酸)とオメガ3脂肪酸となりますが・・・
魚系のフードはサーモンオイルが配合されているので問題ないのですが、肉系の場合、オメガ3脂肪酸供給源として『亜麻仁』を使用。ただ亜麻仁のオメガ3脂肪酸は犬にとってあまり利用効率が良くないオメガ3脂肪酸(αリノレン酸)、となる。サーモンオイルなどEPA・DHAが豊富に含まれるものの方が良いと言えば良いです。
ただ七面鳥→魚→馬→魚、、、のようにローテーションしても良いですし、ドライフードのオメガ3に期待しない。別売りのサーモンオイルやサプリメントで補給する、ってもの考え方としてはアリ。ドライフードはどうしても熱加工するので熱に弱いEPA・DHAは多少劣化します。これは避けられませんからね。
当サイトとしては基本的には脂質源にフィッシュオイル、サーモンオイル、クリルオイルなどEPA・DHAが豊富に含まれる原料を使用しているものを高評価しています。
ただこのウルフインサイトに関しては魚系のものにサーモンオイルを使用して亜麻仁を使用しない。この事から肉系のフードはEPA・DHAの重要性を理解しているがあえてサーモンオイル使っていない気がします。
これはこれで悪くはない、ってのが当サイトの評価ですね!
その他原料およびウルフブラッドの総評
その他としてミネラル類は吸収性の良いキレート加工したミネラル類。腸内環境を整えるプレバイオティクス類、ハーブの使用。プレミアムドッグフードの定番は備えている。
高麗人参の使用なんかは独自性も高い。高麗人参にはサポニンが多く含まれ新陳代謝や抗酸化作用、免疫力や抵抗力など高めるといわれていますね。
あとここでは小型犬向けのものを紹介しましたが、中・大型犬向けで同じ七面鳥ベースのものを見てみると・・・
小型犬向けのものようり若干タンパク質を落としている。
よく勘違いしている方多いですが、代謝速度の関係で小型犬と大型犬を比べた場合、小型犬の方がより高タンパクなフードの方が良いです。もちろん個体差はありますけどね。
小型犬にも中・大型犬にもオススメできるフードって少なく、ウルフブラッド・・・良いと思いますよ!
ただ動物性原料が50%くらいのフード、として考えるとこれは海外製プレミアムドッグフードだと動物性原料の割合は少なくはないが、決して多いとも言えない。
単一プロテインという点、そして価格面も含めてメリットがあるか?
という訳で価格について見ていきましょう。
→Yahooショッピングでウルフブラッドを見てみるウルフブラッドの価格について!

では価格について。価格は正規代理店のオンラインショップの価格を記載しています(2024年7月20日時点)。
ウルフブラッド(小型犬向け) | 価格(税込) | kg単価 |
500g | 2,068円 | 4,136円/kg |
2kg | 6,072円 | 3,036円/kg |
ウルフブラッド(大型犬向け) | 価格(税込) | kg単価 |
500g | 1,903円 | 3,806円/kg |
2kg | 5,720円 | 2,860円/kg |
12.5kg | 25,080円 | 2,006円/kg |
小型犬向けスペックで3,000円/kgくらいのフードとして見ると・・・
やや割高な印象。お得感はないですね。大型犬で12.5kg問題ない場合は単価的にもありかな、とは感じます。
ドッグフードって品質と価格が比例していない。高いものほど良い・・・とも限らずここが難しいところ。国産に比べて海外製フードはコスパが悪すぎる、ってフードはあまり無いですがやはり多少は幅がありますね。
ウルフブラッドの実物を画像と動画で紹介!

こちらウルフブラッド(ブラックバード)の実物画像となります。
で、申し訳ないのですが普段はノギスで測定していますがちょっと不調で・・・新しいノギスが届いたら測定画像追加しますね!
左が小型犬向けの小粒タイプ、右が中・大型犬向けサイズとなりますが、大粒がかなり大きい。
では動画でも紹介しておきます。
ウルフブラッド|単一タンパクで良いフードを探しているor中・大型犬にオススメ

さて、今回はウルフブラッドを紹介してみました。
悪いフードじゃないです。海外製プレミアムドッグフードとして見れば動物性原料の使用割合は決して多いとまでは言えませんが、動物性タンパク源以外についても原料使用割合が記載されている。透明性も高く当サイトとしても十分オススメできるフードなんですが・・・ちょっとコスパは悪いかな、と。
オススメなケースとしては愛犬がアレルギーで悩んでいて単一タンパクのフードを探している場合ですね。種類も豊富です脂質減についても動物性タンパク源と同じものを使用している。ここは安心出来るのではないでしょうか。
あとは中・大型犬だと12.5kgの大袋も使える場合、これは価格的なメリットも出てくるので良いと思います。
ただ主原料がマスのコールドリバー以外はオメガ3脂肪酸が微妙なので、ローテーションにコールドリバーは組み込んだ方が良いと思います。もちろん魚が問題なければ・・・の話ですが。
魚が苦手、もしくはアレルギーの疑いがある場合はクリルオイルなどのサプリを検討するのが良いですね。
では今回はこの辺で。
こちらに当サイトで評価が高かったフードをまとめていますので、ドッグフード選びに迷ったらこちらも参考にしてみて下さい。