当然ですが『ヨラドッグフード』ってフード、ご存知でしょうか?
ヨラドッグフードとはあの『モグワン』を販売しているレティシアンのドッグフードで2022年7月に販売終了してたんですが、2024年4月30日にレシピをグレインフリーにリニューアルして販売再開しています。
で、このドッグフード最大の特徴がタンパク質源が『昆虫』、正確には『アメリカミズアブ』って事。
販売終了を聞いた時にさすがにレティシアンでもイメージの問題で販売量確保できなかったか・・・と残念に思いましたが、まさかの再チャレンジ!と軽く注目しているフード。
ちょっと今回はこのヨラドッグフードを題材にタンパク質源が『昆虫』、これについて考えていこうと思います。
タンパク質源が『昆虫』の最大のメリットは食物アレルギー対策だがそれ以外も・・・
ヨラドッグフード | 原産国:イギリス |
【原材料】 原材料:昆虫類 41.5%(乾燥昆虫 28%、昆虫 8%、昆虫オイル 5.5%)、サツマイモ、ジャガイモ、ビートパルプ、野菜スープ、アマニ、海藻、チコリー抽出物、ニンジン、ホウレンソウ、ブルーベリー、セイヨウイラクサ、パセリ、ローズマリー、ユッカ、ターメリック、コンドロイチン、ビタミン類(E、A、ナイアシン、K、パントテン酸、リボフラビン、D3、ピリドキシン、チアミン、βカロテン、葉酸、ビオチン、コバラミン)、ミネラル類(リン、ナトリウム、コリン、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、スペアミント) 【保証成分】 タンパク質:20% 脂質:13% 粗繊維:7% 灰分:9% 水分:8.5% カロリー:360kcal /100g |
ヨラドッグフードの詳しい内容については後で解説するとして、使用原料および保証成分はこちら。『昆虫』というイメージはさておき、内容としては悪くない印象ですよね。
この『昆虫』をタンパク質源にする事の最大のメリットは食物アレルギー対策です。チキンがアレルゲンとか一種類だけなら何とでもなりますが、複数のアレルゲンがあるとドッグフード選びが非常に厄介になります。
当サイトでは主にInstagramのDM でドッグフードに関するお悩み相談を実施していますが、アレルギーに関する相談はかなり多い。そしてドッグフードのタンパク質源として使われているものがほとんどダメ。
新奇タンパク質と呼ばれるものもほとんど試したが全部ダメ・・・って方は実際に何人かいました。
新奇タンパク質とは??
食物アレルギーは特定のタンパク質が原因でアレルギー反応を起こすが、愛犬が今まで食べた事のないタンパク質であればアレルゲンとして体に認識されにくくアレルギー反応を起こさない可能性がある。
要するに一般的にタンパク質源として使用しない原料で、具体的にはヨラドッグフードのような『昆虫』、その他には『ウサギ』、『ウズラ』、『カンガルー』『ワニ』、『エミュー』など。
そんな場合はイメージが悪かろうが食べれるものの方が重要ですので『昆虫』は大きな助けになります。
もちろん動物性タンパク質ではなく、植物性タンパク質もアレルゲンになります。穀物、芋、豆類・・・そっち系で悩んでいる方はフリーズドライやエアドライのフードだと回避できる可能性がありますので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。
で、この『昆虫』について。私は過去に飼料メーカーで働いていた経験がありますが、当時から議論はされていました。飼料・・・つまり鶏・豚・牛・魚が食べるものですので最終的には人間が食べるもの。イメージが悪いってのはもちろんありますが、タンパク源と見たときには悪くない。むしろ良い。
そして『環境負荷』の面ですね。ここが意外と大事な話で、飼料の世界には『増肉係数』という言葉がよく使われるのですが、これは『体重1kg増やすのに必要な餌の量』です。
牛だったら8〜10、魚だと魚種によって違うのですが、マグロとかは平気で10超えます。養殖魚の中で一番効率の良いものはサーモン(鮭鱒類)、これらは成績良ければ1.15くらい。だから世界中でサーモンが養殖されているって事ですね。効率良いので。
と、このように畜産・養殖って餌1kgに対して食べ物1kgを生産できないので効率が悪いものではあるんですよ。
そこで昆虫。ヨラドッグフードに使用されているアメリカミズアブ って昆虫業界では人気の昆虫なのですが、理由はすぐ大きくなる。幼虫状態のものを原料として使用する事が多いのですが孵化後2週間程度で加工できると言われています。
さらには飼育する餌に食料残渣(賞味期限切れの食品や加工場から出る食品由来のゴミなど)、を利用できる。タンパク質含有量や脂肪酸組成も良い。生産に発生する二酸化炭素排出量も非常に低く、肉類に比べて生産設備に土地を広く必要としない。つまり環境に優しい。と実は世界的な食料問題、タンパク質源不足を解決する救世主か?
みたいな話もあり、日本でも特に水産養殖の分野で注目されいてます。例えばこういうやつですね。
→https://www.knsk-osaka.jp/ibpf/guideline/bsf_guideline.html
ただやっぱりイメージが悪い事と日本だと生産規模が小さいので生産コストが悪い。イマイチ伸びていない印象があるのですが、海外だと大規模な生産施設が建設されたりと活発ではある。
今回紹介しているヨラドッグフードですが、これに使用されている昆虫原料はオランダを拠点とするProtix社というとこから原料供給を受けています。Protix社は2017年6月に4,500万ユーロの資金を調達したと話題になった企業ですね。飼料用昆虫供給産業のリーダー的な存在です。
→https://kyodonewsprwire.jp/release/201706132682
と、このように『昆虫』ってイメージ抜きにしたらタンパク質源として非常に優秀です。
なので今愛犬がアレルギーで困っている方はもちろんですが、アレルギーなんてものは将来的にどうなるか分かりませんので、昆虫系ドッグフードがある、って事は知っておいて損はないかと、と感じ今回記事にする事にしました。
ちなみに犬にとって昆虫はどうなのか?これについては様々な研究がされており、消化率などは肉系のフードと差はない。何なら関節炎の予防に効果がある可能性があるとも言われています。
→https://www.frontiersin.org/journals/veterinary-science/articles/10.3389/fvets.2021.653411/full
ヨラドッグフードを販売するレティシアンについて
さて、そんなヨラドックフードなんですが冒頭にも言いましたがあの『モグワン』を販売しているレティシアンのフードです。
レティシアンのフードって記事書くのすごく悩むんですよ。広告色が強いのでやっぱりこのサイトも他と同じか!?って思われそうで・・・笑
ただ過去記事でも何度か言っていますが、私はレティシアンって嫌いじゃない。むしろ結構好き。
おそらくレティシアンのやっている事って多くの方が正確に把握していないと感じます。レティシアンってヨーロッパの大小様々なメーカーから良さそうなフードを日本に輸入している。
つまり海外現地でも販売されているフードを日本に輸入しているって事。これどういう事かと言うと、インターペットとかPet博に行った事がある方ならイメージできるかと思いますが、『アカナ・オリジン』と『ZIWI』のやたらとデカいブースあるじゃないですか?
あれを運営しているのって『トランペッツ』って会社なのですが、やっている事自体はそこと変わらない(レティシアンの場合、海外と全く同じではなく多少アレンジしてたりするが)。
トランペッツが正規代理店としてオリジン・アカナ、ZIWIを輸入して日本に販売
レティシアンが正規代理店としてカナガン・ヨラドッグフード・アランズナチュアルなどを輸入して日本に販売
※モグワンはレティシアンのオリジナル
やっている事は変わらない。販売方法が違うだけ。
何が違うかってその販売方法です。ネット限定で販売して、定期購入前提での販売にする。そして広告費をぶち込む。
定期購入って場合によっては10年以上購入し続ける可能性だってある訳じゃないですか?だからかなり広告費入れても問題ない訳ですよ。例えば5,000円/袋のフードがあるとします。これ定期購入されたら10,000円の報酬払う。
もちろん最初は5,000円の赤字ですよね。でも報酬支払うのは最初だけなので長期的に見ればプラスになる。そんなやり方をしているのですが、これに食いついた多くのブログ運営者が何でもかんでもモグワンをゴリ押ししてしまった。
そしてイメージが悪くなった、って事。フード自体は良いです。そしてヨラドッグフードなんかが典型的ですが、変なドッグフードも販売してくる。ここが良い。商品ラインナップを見ていると全てのワンコが自社商品の何かしらに合うように!そんな考えじゃないかと疑っています。
でね、『海外現地でも販売されているフード』って事は当然ですが大元のホームページがあります。カナガン(イギリス)のホームページはこちら
なんかちゃんとしている、って驚いた方多いのではないでしょうか?
もちろん今回紹介しているヨラドッグフードのホームページもあります。
この海外現地のホームページが存在する、ってのが重要で、ヨラドッグフードのアメリカミズアブはProtix社から供給されている、って紹介したのはこのイギリスのホームページに記載されているから。情報量が全然違う。日本の販売ページと見比べるとその違いが分かると思います。
そんな訳でレティシアンのフードって内容的には悪くないです。ただモグワンとかカナガンなどオーソドックスなフードは当サイトがわざわざ紹介する必要はない。代わりのものはいくらでもあるし、他サイトが嫌というほど紹介している。
ヨラドッグフードのような癖のあるフードに関しては紹介していこうかな、と考えています。
ヨラドッグフードの使用原料および保証成分を評価
ではヨラドッグフードの使用原料、保証成分について詳しく見ていきましょう。
【原材料】
原材料:昆虫類 41.5%(乾燥昆虫 28%、昆虫 8%、昆虫オイル 5.5%)、サツマイモ、ジャガイモ、ビートパルプ、野菜スープ、アマニ、海藻、チコリー抽出物、ニンジン、ホウレンソウ、ブルーベリー、セイヨウイラクサ、パセリ、ローズマリー、ユッカ、ターメリック、コンドロイチン、ビタミン類(E、A、ナイアシン、K、パントテン酸、リボフラビン、D3、ピリドキシン、チアミン、βカロテン、葉酸、ビオチン、コバラミン)、ミネラル類(リン、ナトリウム、コリン、亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、スペアミント)
【保証成分】
タンパク質:20% 脂質:13% 粗繊維:7% 灰分:9% 水分:8.5%
カロリー:360kcal /100g
タンパク質源について
まずはタンパク質源について。ドッグフードは使用する原材料の重い順に記載するルールがあり、一番最初に記載されている原料を第一原料と呼びます。ヨラドッグフードは昆虫類が第一原料。41.5%と割合が表示されており、またその内訳(乾燥・生・オイル)も記載、ここが良いですね!
アレルギーにかなり気を使っている印象があります。ヨラドッグフードのリニューアル前の原材料表示ってこちらなのですが・・・
ヨラドッグフード・リニューアル前
昆虫42.5%(乾燥昆虫27%、昆虫8.5%、昆虫オイル7%)、オーツ麦、ジャガイモ、トウモロコシ、エンドウ豆、ビール酵母、海藻、亜麻仁、トマト搾滓、乾燥ビート、チコリー繊維、乾燥カボチャ、乾燥ニンジン、グルコサミン、コンドロイチン硫酸、乾燥ケール、乾燥パセリ、ユッカエキス、酸化防止剤(植物油性トコフェロールエキス)、ビタミン類(A、D3、E)、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、銅、ヨウ素、セレン)
昆虫類の割合は1%減ったものの、穀物・豆類を削って炭水化物源をサツマイモ、ジャガイモに限定。ここは良い改善ですね!グレインフリーが良い、って意味ではなくアレルゲンになりうる原料を可能な限り減らしているのが良い。
またタンパク質ですが20%とやや低めの設計ではありますが、植物性の濃縮原料(エンドウ豆タンパクやポテトプロテインなど)を使用しておらず、この内容であればほぼほぼ昆虫由来のタンパク質と推測できます。
公開している情報量も多いですし悪くはないと評価します。
脂質源にについて
犬にとっての必須脂肪酸、つまり体内で合成できないので食べ物から摂取する必要があるものはオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸となります。
で、昆虫オイルの脂肪酸組成がどんなものか調べた結果見つけました。こちらの論文内にありました。
思ったより良い感じの脂肪酸組成ですよね。ラウリン酸は必須脂肪酸ではありませんが、ココナッツやヤシ油に多く含まれ免疫力を高め、炎症性疾患を予防する効果があります。そして必須脂肪酸であるリノール酸とリノレン酸。
そこに亜麻仁を加えてオメガ3を強化している形ですが、リノレン酸って犬が利用しにくいオメガ3ですので、もし魚がアレルゲンでなければ魚系のおやつでオメガ3(EPA・DHA)を強化してあげると良いですね。
動物性原料は昆虫しか使わない!みたいなコンセプトでしょうからこれはこれで良いと思います。
ヨラドッグフードの総評と価格について
では総評。
やや低タンパクではあるものの保証成分上のタンパク質は昆虫由来と判断できますし、ちょっと懸念していた脂肪酸組成は調べた結果問題なし。全体的な仕上がりとしては悪くないと感じます。
アレルゲンとなるものも芋系ぐらいでしょうし、これで助かる!って方も意外と多いように感じますね。
価格ですが、通常価格が5,852円/1.5kg。定期購入で最大割引だと20%オフで4,681円/1.5kg。kg単価だと3,240円/kg。
(※定期はいつでも解除OK)
販売量がどう考えても少ないこの手のフードが価格は高くなるのは仕方ない。まあ仕方ないかな、ってラインですね。
愛犬のアレルギーに悩んでいるなら『昆虫』という選択肢も知っておこう
さて今回はタンパク質源が『昆虫』のヨラドッグフードを紹介してみました。
需要がある方は限られますが、今はアレルギーなくても将来的にどうなるか分かりませんし、知っていて損はないかな、と。
ちなみにヨラドッグフード以外にも昆虫系ドッグフードってあります。おそらく多少名前が知られているのがドイツ産の『Eat Small』ってフードですね。
ドッグフードオタクなのでこんなマイナーフードも資料として持っている訳ですが・・・こちらの方が見た目のタンパク質なんかは高い。ただし植物性由来のものが多く、脂肪酸組成もあまり良さそうじゃないので微妙かな?と。
価格も送料込みで考えるとヨラドッグフードの方が多少安いくらいなので、どちらかと言うとヨラドッグフードの方がオススメですね!Eat Smallは大体欠品しているので供給面も不安なので。
では今回はこの辺で。アレルギーに悩んでいる方は検討してみて下さい。
またアレルギーに関しては数多くの飼い主さんから相談を受けています。何かしら力になれる可能性があるので、お気軽に当サイトInstagramまでメッセージお待ちしております。