さて、最近Instagramを眺めているとよく出てくる広告。やたらとカッコいい画像で気になっている方も多いのではないでしょうか?
フレンチブルドッグ専用フード、THE fu-do(ザ・フード)
これね。
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このフード、品質が良い、悪いは別にして色々とやり過ぎな気がしますね!
ちなみにこのフードは犬種特化メディアを運営する株式会社dot LIFE(ドットライフ)ってとこが販売元。親会社は株式会社CARTA HOLDINGSで電通傘下。メディア事業とアドテクノロジー事業ををやっているデカい会社なのですが、、、当サイトはドッグフードブログなのでアドテクノロジーって何?ってなりますよね。
アドテクノロジーとはインターネット上の広告を最適化する技術、みたいなイメージです。CARTA HOLDINGSはスマホ広告がメインですね。
株式会社dot LIFEはフレンチブルドッグライフってメディアを運営しており、そこがフレンチブルドック専用フードを販売した。それが今回紹介するTHE fu-do(ザ・フード)です。
フレンチブルドッグライフ以外にも柴犬、レトリバー、ダックス、トイプーそれぞれの特化サイトを運営しており、公式HPによると月間1,500万pvもあるらしい。すごいですね。それに比べると当サイトは最早ゴミのような存在です!
さて、そんなTHE fu-do(ザ・フード)ですが、何がやり過ぎなのか解説していきます。
THE fu-doの開発秘話が色々と面白い|犬心との関係性
よくプレミアムドッグフードの公式ホームページには『開発秘話』みたいなのがあるじゃないですか?あれ結構つっこみどころ満載なものが多くて、ザ・フードも中々面白い。
1万頭のフレンチブルドックと出会い、3,000頭以上を研究して開発した正しいフード、みたいな事書いていますが・・・なんか凄そうですよね。
ザ・フードの共同開発者が藤本大道先生らしいのですが、この藤本氏は『犬心』ってフードを販売している人です。公式サイト上に書いていましたが、犬心の『オメガ3サポート』ってフードをフレブル向けにアレンジしたのがこのザ・フードとの事。
では原材料表示・保証成分を見比べてみましょう。
犬心・オメガ3サポート
生肉(牛、鶏、豚、魚)、大麦、魚粉、玄米、サツマイモ、ホエイ、脱脂大豆、焙煎米ぬか、ココナッツ、ライ麦、安定型クリルオイル、とうもろこし、冬虫夏草、脱脂粉乳、ビール酵母、植物油脂(菜種油、ひまわり油、米油)、全卵、ブルーベリー茎、エキス粉末、グルコサミン、コンドロイチン、海藻粉末、カルシウム粉末、L-リジン、DL-メチオニン
360kcal/100g、粗タンパク質26%以上、粗脂肪8.0%以上、粗繊維6.0%以下、粗灰分6.0%以下、水分10.0%以下
ザ・フード(正統の基礎栄養食
生肉(牛、鶏、豚、魚)、大麦、魚粉、玄米、サツマイモ、ホエイ、脱脂大豆、焙煎米ぬか、ココナッツ、ライ麦、安定型クリルオイル、とうもろこし、冬虫夏草、安定型ビタミンC、脱脂粉乳、ハナビラタケ、α-シクロデキストリン、ビール酵母、植物油脂(菜種油、ひまわり油、米油)、全卵、ブルーベリー茎、エキス粉末、海藻粉末、カルシウム粉末、L-リジン、DL-メチオニン
360kcal/100g、粗タンパク質26%以上、粗脂肪8.0%以上、粗繊維6.0%以下、粗灰分6.0%以下、水分10.0%以下
アレンジ・・・しているだけあってほぼ一緒ですね。赤文字にしてる部分が違うくらい。保証成分については全く一緒ですね。
さて、ドッグフードの原料表示については『ペットフードの表示に関する公正競争規約』というものがあり、一応ルールがあります。その規約にこのような一文があります。
加工助剤(ペットフードの加工の際に添加される物であっ て、当該ペットフードの製造の過程において除去されるもの、当該ペットフード の原材料に起因してそのペットフード中に通常含まれる成分と同じ成分に変え られ、かつ、その成分の量を明らかに増加させるものではないもの又は当該ペットフード中に含まれる量が少なく、かつ、その成分による影響を当該ペットフー ドに及ぼさないものをいう。)を除き、使用したものを全て記載することとする。
重要な部分を太字にしましたが、要するにこれはその成分が微量でフードに影響を及ぼさないものなら原材料表示上に記載しなくてもOK、って事なんですよ。
このルールって結構いいように使われていて、わたし飼料メーカーで働いていた過去があるのですが、よくオリジナルの配合設計で作って欲しい、的な顧客いるんですよ。この特殊原料を入れて欲しい!みたいなね。
これが非常に面倒くさい。仕事が増える、って意味じゃなくて色がついているものは製造ライン上にそれが付着したり、物性がそもそも扱いにくい、など入れたいから入れれる、って話でもない。
でも『耳かき一杯入れとけば納得する』。そう、品質に影響しない程度の超微量な量を配合する。そして原材料表示に書いておけば納得する。
これが『あえて』記載するパターンですね。
逆に『あえて』記載しないパターンもあります。微量な量の原料をいくつか入れておく。で、記載する原料を変えてやる訳です。そうすると・・・中身は一緒だけど別物の商品がいくつか作れる。
ちなみにドッグフードってOEMで中身一緒なものが蔓延しているのですが、この方法はよく使われています。
さて、犬心のオメガ3サポートとザ・フード、どうでしょうね。真相はわかりません。
ちなみに犬心は株式会社スパットってとこのOEM製品です。犬心って一時期供給がストップした事あるのですが、これは株式会社スパットで火事が発生したため。
犬心の公式ページにも欠品のお知らせが出ていましたが、製造工場における大規模な火災事故に伴い〜って書いています。
→https://inukokoro.com/oshirase/keppin/
株式会社スパットは自社製品もあるのですが、どちらかと言うと他社のOEMを受けている会社。ここのOEMはめちゃくちゃ種類があります。で、株式会社スパットの自社製品は『フィールドゲインズ』って名前のフードなのですが、その中身はこれ
フィールドゲインズ
生肉(牛、鶏、馬、豚、魚肉)、大麦全粒粉、魚粉、サツマイモ、玄米粉、ココナッツパウダー、植物油(菜種油、ひまわり油)、醗酵大豆、コーン蛋白、ビール酵母、ホエイ蛋白、海藻粉末、脱脂粉乳、米ぬかエキス、オリゴ糖、カルシウム粉末、L-リジン、DL‐メチオニン、ローズマリー抽出物、ユッカ、乳酸菌群、酵母菌醗酵抽出物、麹菌醗酵抽出物、枯草菌
なんかとっても似ているでしょ?
別にOEMが悪いって事じゃないです。工場なんて簡単には建てれませんし、そもそもドッグフードに限らずOEMは様々な分野で行われている事。車メーカーで不正して話題になっている『ダイハツ』があるじゃないですか?トヨタのプロボックスはダイハツが作っていますし、スバルのステラとか、これもOEMです。
問題視しているのは中身一緒のくせに値段がバラバラ、、、というかOEM品が高すぎる。そして公式サイトでの開発・構想に〇〇年みたいな謎広告ですね。
ちなみにお値段ですが・・・
フィールドゲインズ:2,090円/kg
犬心オメガ3サポート:5,610円/800g×2、kg単価:3,506円/kg(通常単価)+送料
ザ・フード:9,362円/2袋(1kg×2) kg単価:4,681円/kg
さて、これどう思いますか??
フィールドゲインズはまあ、別物として扱っても良いと思いますが、それにしてもこの価格差。ドッグフードの原材料表示って重い順に記載されます。仮に犬心とザ・フードが別物としても、後ろの方に記載されているあの原料の違いでこの価格差は・・・まあここは飼い主さんの価値観次第ですね!
電通傘下の会社の事をあまり悪く言うと怖いのでやめておきましょう。
あとドッグフードお悩み相談で『犬心』のこと聞かれること多いのですが、イマイチ記事を書く気にならないのは・・・察して頂ければと。
THE fu-doの4つの工夫を解説してみる
さて、ザ・フードの公式サイトには4つの工夫とやらが紹介されています。その4つとは・・・
- オメガ3源としてクリルオイルを採用
- 安定型ビタミンC(アスコフレッシュ)を採用
- L-ロイシンが不足している可能性があるので豚ヒレ肉を使用
- 腸内善玉菌が不足傾向の可能性があるのでαシクロデキストリンを配合
この4つですね。
ではまずクリルオイルですが、これは良いと思います。クリルって釣りの餌とかで使われるオキアミの事ですが、DHA・EPAが豊富に含まれており、犬にとって非常に良いもの。さらにこれがどの程度の効果があるかは不明ですが、酸化されにくい『シクロデキストリン化』という特殊な技術が使われているとの事。
まあ犬心にも同じもの使われていますけどね。
これは良いと思います。ちなみにこのオイル・・・というか脂肪酸はドッグフードにおいてかなり重要で、より詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみて下さい。
→犬に重要な『オメガ3脂肪酸』|亜麻仁ではなく魚系を推奨する理由
次にビタミンCですね。ビタミンCは確かに熱に弱いってのはあります。ありますが私は飼料作っていましたからね。昔はともかく今のビタミンCはそれなりに熱に耐えてくれますし、熱のロスを考慮した上で配合します。そんなに特別な事じゃない。
L -ロイシンについてですが、豚フィレ肉が何%使用されていてフードとしてL -ロイシンの含有量が記載されている訳でもないのによく分からない。そもそもロイシンについては必須アミノ酸であり、AAFCOの基準値にもある。フレンチブルドッグが他より要求量高いってソースがわからない。調べた限りない。
αシクロデキストリンはトウモロコシ由来の食物繊維。食物繊維源はどのドッグフードでも配合されている。ちなみにこれ環状オリゴ糖だがフィールドゲインズに記載されている『オリゴ糖』と同じなんじゃないの?って感じる。
あとこれはいわゆる腸内善玉菌のエサとなる『プレバイオティクス』だが、善玉菌そのものを摂取する『プロバイオティクス』をしているフードもいくらでもある。
と、こんな感じですね!クリルオイルについては良いと思います!
その他はあれですね、電通傘下の会社の事をあまり悪く言うと怖いのでやめておきましょう。
ちなみに犬心とかこのザ・フードは低温押し出し式、海外だとコールドプレス製法、とか呼ばれる方法で製造されています。別にそんなに珍しい方法ではありません。詳しく知りたい方はこちらの記事を読んでみて下さい。
→コールドプレス製法のドッグフードとは?エクストルーダー製と比較
THE fu-doから考える国産プレミアムドッグフードの闇
さて、ここまで読んで頂いてどう感じたでしょうか?
月間1,500万pvのメディアが言っている事と弱小ドッグフードオタクブロガーが言う事。どちらに信憑性があるかは不安な所ではありますが、多少は疑問に思った点もあるのではないでしょうか。
さすがは電通傘下のメディアなので目を引く広告しています。公式サイトの作りもキレイ。やるかどうかは知りませんが、アフィリエイト広告までやり出せば勝手にブロガーがネット上での露出を高めてくれるので売れると思います。
当サイトではオススメしませんけどね。
他にも色々と言いたい事はあるけど、電通傘下の会社の事をあまり悪く言うと怖いのでやめておきましょう。
わたしこのように販売者側にとって不都合な事平気で書いていますけど、国産のドッグフードは応援しています。同じグレードのフードであれば多少高くても国産を買いたい。これは本気でそう思っている。
でも残念な事に今の環境はこういうフードで広告ぶん回すのが一番効率よく儲かる。それは事実なんですよ。
今は弱小ドッグフードサイトですけどね、ありがたい事に徐々に応援してくれる読者さんも増えてきています。こういう今の現状を知る読者さんが増えれば・・・国産のドッグフードが本当の意味で良くなる(良くないと売れない)、そうなれば良いな、とドックフードオタクは思いながら記事書いています。
当サイトではドライフードだとアカナ(ACANA)をオススメする事が多いですけど、あのフード世界90ヶ国以上で販売されています。日本のプレミアムドッグフード・・・日本以外で誰が知っているよ!?って状況なんですが・・・
なんかこれ悔しい。
絶対作れると思うんですよ。日本人の気質的に世界で評価されるフード。そんなフードが出てくると良いですよね!
では今回はこの辺で。こちらに当サイトで評価の高かったフードをまとめたランキング記事を作成しています。フード選びに迷ったらこちらもぜひ参考にしてみて下さい。
→ドッグフードおすすめランキング表|6項目で公平な評価をしています