今回紹介するドッグフードは【KiaOra キアオラ】というドッグフード。ニュージーランド産のプレミアムドッグフードですね。キアオラっていくつかの商品ラインナップがありますが、特に『カンガルー』について。
キアオラのカンガルーってなぜか人気が高い。
当サイトではドッグフードに関するお悩み相談を受けていますが、キアオラについての質問も多いですね!
このフードが良いか悪いか、、、結論から言うと良いフードであるとは思います。
ただここまで人気が出るほどのものか?とも感じるんですよ。だって2.5kgの袋で4,000円/kgくらいしますからね。kg単価4,000円代はドッグフードだとかなり高い部類です。価格以外にもツッコミどころはいくつかあります。
という訳で今回はなぜキアオラのカンガルーが高額にも関わらず人気なのか?それを考察しつついつもの様に評価していきます!
キアオラのカンガルーはアレルギー対策として人気だが、『対策』目的ならこれじゃなくても良い気が・・・
キアオラが高額にも関わらず人気している理由って・・・アレルギーを気にしている飼い主さんが多いからだと思います。それと購入のしやすさですかね。品揃えの良いペットショップなら取り扱っている事多いので。
確かにカンガルーはドッグフードの原料としては珍しく、いわゆる『新奇タンパク』と言って良い。
新奇タンパク質とは?
食物アレルギーは特定のタンパク質が原因になっており、同じものを食べ続けると発症しやすいと言われている。なので今まで食べた事がないもの(新奇タンパク質)ならアレルギーを発症しないという考え方。ドッグフードならカンガルー、ウサギ、ワニ、昆虫などが新奇タンパク質としてドッグフードの原料に使われている。
新奇タンパク質を使用したドッグフードはマイナーなものばかりですからね。ペットショップでも取り扱いのあるキアオラは購入しやすく商品名もある程度知られているので安心感もある・・・なので人気しているのかな?と。
ただですね・・・
複数のアレルギー持ちで様々なドッグフードを試した結果がキアオラのカンガルーに落ち着いた、であればこれで良いと思います。でもアレルギー『対策』としてこれを選ぶのはどうなのかな?とやや疑問。
同じフードを食べ続けるとアレルギーを発症する説|コップ理論とは??
なぜアレルギー『対策』ならキラオラのカンガルーじゃなくても良いか?
それを説明するにあたり【コップ理論】というのはご存知でしょうか?犬に限らず人間もですが、同じものを食べ続けるとアレルギーが発症する説があります。
コップ理論を図で説明すると・・・
ここに2頭のワンコがいます。コップの容量はそれぞれ異なりますね。コップの容量が大きいとアレルギーになりにくいって事です。
ではこのコップに水を注いでいきます。水はフードに含まれるタンパク質ですね!チキンメインのフードをずっと与えていたとしましょう。
すると・・・
コップの容量が小さいアレルギー体質のワンコは水が溢れてしまった。ここでチキンのアレルギーが発症した。こんな感じですね。これがコップ理論。
アレルギー対策として『フードローテーション』ってのがあります。原材料の異なるフードを順番に与える事です。これには様々な食物から栄養を摂取できる、ってメリットもありますが、アレルギー対策としてコップが溢れないよう分散させているって事ですね!
新奇タンパクというのは容量は分かりませんが、『空のコップ』です。
複数のアレルギー持ち・・・つまりチキンやビーフ、ラムなどドッグフード定番原料のコップが溢れてしまった(アレルゲンになっている)場合は空のカンガルーコップを使うしかない。
これは仕方ないですよね?
でもアレルギー『対策』であるなら空のカンガルーコップは今使わなくても温存しておけば良いのでは??
って思いませんか?しかもkg単価高いフードだし・・・
上記説明した事が絶対正しいとは言いません。アレルギーはいつ発症するか分かりませんし、何が原因になるかもわからない。カンガルーコップが物凄く小さい、って事も可能性としてはあるし、愛犬のチキンコップが物凄く容量デカくて一生アレルギー発症しない事もある。
要するにあまり心配し過ぎても仕方ない。今アレルギーでないなら無理に新奇タンパクのフードを与えなくても良いんじゃないか・・・って事ですね。
KiaOra キアオラの原材料品質・原料表示の情報量(25点/30点)
ではいつものように使用原料や原材料表示の情報量から評価していきたいと思います!
キアオラには『ラム&サーモン』『グラスフェッドビーフ&サーモン』『ラム&レバー』『グラスフェッドビーフ&レバー』『カンガルー』の5種類のラインナップがありますが、今回はやはりカンガルー中心に解説していきますね!
キアオラカンガルーの使用原料について(15点/15点)
キアオラ・カンガルーの使用原料はこちら
原料表示
カンガルー生肉、ドライフィッシュ、えんどう豆、タピオカスターチ、全粒亜麻仁、鶏脂、天然フレーバー、ミネラル類(塩化ナトリウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、亜セレン酸ナトリウム、硫酸コバルト、ヨウ素酸カルシウム)、ビネガー、酸化防止剤(クエン酸、天然ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、グリーンティ抽出物、スペアミント抽出物)、ビタミン類(塩化コリン、ビタミンEサプリメント、ナイアシン(ビタミンB3)、パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)、リボフラビンサプリメント、チアミン硝酸塩(ビタミンB1)、ビタミンB12サプリメント、ビタミンAサプリメント、塩酸ピリドキシン(ビタミンB6)、葉酸(ビタミンB9)、ビタミンD3サプリメント)、タウリン
動物性原料およびタンパク質源について
ドッグフードでは配合量の多い順に原材料を記載するルールがあり、最も最初に記載されているものを『第一原料』と呼びます。このフードだと『カンガルー生肉』が第一原料となりますが、割合(%)が記載されていないのでどの程度の使用量かはわかりません。こ
カンガルー肉って高タンパクで『超』低脂質なのが特徴です。鶏の胸肉が100g中脂質6gくらい。カンガルー肉は1g程度ですからね!
次に続くドライフィッシュ・・・つまり魚粉ですがこれは販売代理店のサイトを見ると【キンメダイ、ブルーコッド、マルスズキ、タイ、タラキヒ】を使用していると記載されています。
魚粉は水分を飛ばして乾燥させているので、当然タンパク値が高くなります。カンガルーは生肉で水分が多く、魚粉は乾燥原料・・・%表示されていないのでなんとも言えないのですが、このフードのタンパク値保証成分値は29%。
えんどう豆やタピオカスターチからもタンパク質の供給はありますが、ほぼ動物性由来のものと考えて良いと思います。ただもう一度言いますが、カンガルーと魚の割合が記載されていないのが残念。第一原料にできる重量分をカンガルー肉にして後は魚粉・・・ってのも可能ですからね。
脂質源について
次に脂質源について。このフードだと脂質源として『鶏脂』が配合されています。
カンガルー肉は超低脂質なので生肉由来の脂肪分だけでは不足。なのでオメガ6脂肪酸として鶏油を配合している、そんな感じですね!
ここで『アレルギー対応のフードなのに鶏??』って感じる方多いのではないでしょうか??
実は精製したオイルってタンパク質が製造過程でほとんどが除去されます。つまり鶏にアレルギーがあっても心配する必要まずありません。これについては代理店の公式サイトにも記載されていますし、ロイヤルカナンもオイルについてはほぼ心配ないと記載していますね。
ただ重度のアレルギーであるならやはり気にした方が良いかとは思います。微量なタンパク質が残っている可能性はあるので絶対ではないですからね。
あとオメガ3脂肪酸源として亜麻仁が使用されています。なぜドライフィッシュまで使っているのにオメガ3脂肪酸源を亜麻仁にしたのかがちょっと謎。
ここは魚系オイルの方が良かった気がする。成分値にも脂肪酸数値は記載されていませんし・・・
脂肪酸バランスについては他の項目で減点しておきます。
その他原料および使用原料まとめ
その他は特に変わった原料はありませんね。タピオカスターチが配合されていますが、これは炭水化物源というよりは増粘剤ですね。エクストルーダという機械で製造されていると思われますが、エクストルーダーで造粒する場合、形を安定されるためよく使われる原料です。
この価格帯なら腸内環境を整えるプロバイオティクス類や関節に良いとされるコンドロイチンなど何かしら機能性原料が配合されている事が多いですが、そういったものはない。
カンガルーという珍しい動物性タンパク源を使用している以外はとてもシンプルな内容です。シンプルな内容も悪くはないですが、高いフードならもう少し何か欲しい!とも感じます。
KiaOra キアオラの原材料表示の情報量について(10点/15点)
ドッグフードの原材料表示は使用割合の多いものから記載するルールがありますが、各原料が何%配合されているかまで記載する義務はありません。
原料の項目でも言っていますが、『カンガルー生肉、ドライフィッシュ』の表示だと何が何%入っているかわからない。
カンガルー肉って100g中に含まれるタンパク質って23.6gなのですが、仮にカンガルーが50%含まれていたとしても11.8%しかカンガルー由来のタンパク質はない。このフードは29%なので全然足りてませんよね?
なのでドライフィッシュでタンパク値を補強しています。
割合が公開されていないので予想になりますが、良い、悪いは別にして魚の割合はまあまあ高いと思います。高タンパクなカンガルー肉とは言え水分の多い生肉からタンパク質はそこまで多く確保できません。
原料の表示については必要最低限の記載しかない。この場合は10点/15点で採点しています。
ちなみにキアオラと同じくニュージーランド産のフードで『ジェントルベイク』ってフードがあるのですが、これは全部の原料に割合表示しています。ここまでする必要はないですが、せめて動物性タンパク源だけでも割合表示して欲しかったところ。
キアオラ カンガルーの栄養成分値・バランス(17点/20点)
次に栄養成分について。保証成分はこちらになります。
保証成分
タンパク質:29.0%以上、脂質:17.0%以上、粗繊維:4.0%以下、灰分:10%以下、水分:10%以下
カロリー:約365kcal/100g
当サイトでは栄養成分値の項目に関しては基本的に満点評価となります。同一犬種であっても運動量も生活環境だってそれぞれ違う。ベストな栄養成分なんてものはありません。
ただしこのフードはオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸について輸入者(レッドハート株式会社)の公式サイト上で【鶏脂」と「亜麻仁」のオメガ3&6脂肪酸をバランス良く配合することで、健康維持により美しい皮膚と被毛を保ちます。】と記載されているが、そこがイマイチ信用できない。この点はマイナス評価しておきます。(-3)
※当サイトでは脂肪酸数値が非公開でも『使用原料から十分に考えられた内容』と判断できれば減点はしていません。
スペックとしては高タンパクで脂質も高め、低炭水化物のフード。それなりに運動量高めのワンコの方が合いそうですね!
キアオラは安全への取り組みを行なっているか?(12点/20点)
当サイトでは安全への取組について①アレルギーの対策、②安全性に関わる認証制度など取得しているか、この2点を特に重要視しています。
まずアレルギーですが、キアオラの商品ラインナップは『ラム&サーモン』『グラスフェッドビーフ&サーモン』『ラム&レバー』『グラスフェッドビーフ&レバー』『カンガルー』の5種類。とは言え主原料の種類としてはそこまで多くはない。ただカンガルーという新奇タンパクがあるのは評価できる。
フードの内容としては全て穀物不使用のグレインフリーとなっている。ただ今のプレミアムドッグフードってグレインフリーもしくはグルテンフリーになっている事がほどんどですので、これは特別評価するほどの事でもない。
こんな感じですね!
次に安全性に関わる認証制度について。これについて公式ホームページ上ではこの様な記載があります。
キアオラ製品は、サルモネラ菌等の汚染のリスクを回避するため、ニュージーランド食品安全省(NZFSA)が規定する危険管理プログラムに従い、世界的に推奨される食品衛生管理の国際基準HACCP(ハサップ)に則って製造しており、原材料の入荷から製品の出荷に至る全行程における必要な品質管理、および微生物の発生を防ぐ水分活性値の厳重な検査を実施しています。この手法により、バッチ毎に製品の品質と安全を確認しております。
これはなんと言いますか自主的な安全管理みたいなもので出来れば外部の監査が入る認証制度などあった方が安心感は高まります。
例えばベルギー産のプレミアムドッグフードで『ブラバンソンヌ』というフードがあるのですが、製造工場はIFS(国際食品規格)とBRC認証(英国小売業協会食品安全規格)を取得。さらに抜き打ち審査が入るFSSC22000という認証制度も取得。
日本に輸入されてからもる第三者機関による成分検査、残農薬検査及び酸化過酸化物価検査を実施・・・
ここまでやっているフードもありますからね・・・
と、上記考慮して12点/20点と評価しておきます。
KiaOra キアオラの製造方法について(5点/10点)
当サイトはドッグフードをどのように製造しているか?これについても重要視しています。こちらキアオラ・カンガルーの実物の画像となりますが、エクストルーダーという機械で製造されたものですね!
ドッグフード系サイトでは『押出し機』と表現されたりもしますが、多くのメーカーが採用している機械であり、特に海外製プレミアムドッグフードはほとんどがエクストルーダーで製造されています。
エクストルーダーはどんなもんか図で説明するとこんな感じ。
犬が消化しにくいデンプンがα化する、気圧の変化によって粒内部に多数の穴が形成。この穴にオイルを浸透させる事ができる、などメリットはあるが、高温高圧になるのでタンパク質の変性など栄養素の劣化というデメリットもあります。
デメリットもありますが、時間あたりの生産能力も高くトータルで考えると優秀な機械です。
当サイトではエクストルーダーでの製造だと基礎点として5点。さらに公式サイトで製造方法について詳しい説明をしている、デメリットを解消するための何か工夫がある、などあれば加点するようにしています。
キアオラについては基礎点の5点評価にしておきます。
キアオラは人工の酸化防止剤・着色料を使用していないか(10点/10点)
これについては問題ありませんね。
クエン酸、天然ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、グリーンティ抽出物、スペアミント抽出物が酸化防止剤として使用されています。どれも天然由来のものです。
キアオラはスペックに見合った価格であるか?2点/10点
最後に価格について。
当サイトでは単純な価格ではなく、スペックに見合った価格なのか?これを考慮して採点しています。
正規代理店のレッドハートでは販売されていないので、楽天の価格となりますが、キアオラの価格はこんな感じ。(最安値で)
キアオラカンガルー | 価格(税込) | kg単価 |
400g | 2,310円 | 5,775円/kg |
800g | 3,850円 | 4,813円/kg |
2.5kg | 10,230円 | 4,092円/kg |
4.5kg | 17,600円 | 3,911円/kg |
9.5kg | 29,700円 | 3,126円/kg |
だいたい4,000円/kgくらいのフードとなりますが・・・どう考えても高すぎる気が・・・
カンガルーじゃないとダメってケースは非常に稀だと思うんですよね。そもそもキアオラのカンガルーは魚入っていますので、魚で良いならもっと安いフードはいくらでもありますし・・・
高品質なフードで『エンパイア』ってのがあります。その中でも栄養スペック的にキアオラと同等のもので『スペシャルダイエット小粒』というものがあります。動物性タンパク源が鹿・ヤマウズラ・ガチョウ・カモ・キジなどジビエ系を使用しており低アレルゲン。使用原料や栄養成分の情報量もかなり詳細に公開されています。これより良いフードを探す方が難しい・・・そんなフードですが・・・
それでも3,600円/kgくらいなんですよね。(1.8kg包装価格で。大袋ならもっと安くなる)
正直・・・コスパは悪いと思います。
ちなみにですがカンガルー以外のビーフやラムはちょっと安めになっており、3,300円/kgくらいの価格設定です。
キアオラ総合的な評価71点!コスパは悪い!本当にこれじゃないとダメなのか?考えてみよう
さてキアオラの総合点は71点と厳しめの評価になりました。
キアオラって配合内容が良くも悪くもシンプルです。というかニュージーランドのフードってこういうフードが多いです。余計なものを入れずにシンプルで栄養素は自然由来のものを・・・みたいなフードですね。
それが良いって人もいるでしょうが、価格を考慮したときにオススメできるかと言うと・・・うーん、、、ってなります。
ただ何度も言っていますが、複数のアレルギー持ちでフードの選択肢が少なく、なんとか見つけたフードがこれ・・・って場合は仕方ない。でもアレルギー予防で、って方はこれじゃなくて良いのでは?と思います。コスパ悪いので。
カンガルー肉は非常に良い原料だとは思いますけどね。超低脂質だし共役リノール酸が多く含まれているのでダイエット効果にも期待できます。
カンガルーがどうしても良いって方はキラオラと同じくニュージランド産のフードで『アディクション』ってフードもチェックしてみて下さい。あまりメジャーなフードではありませんが、こちらはキラオラと違って動物性タンパク源がカンガルー単一。単価もキラオラに比べれば若干安いです。
(ただしスペックも若干低くタンパク22%、脂肪11%)
では今回はこの辺りで。こちらに当サイトが紹介したフードで評価点が高かったものをランキング形式にて紹介しています。よかったらこちらも参考にしてみて下さい。
→ドッグフードおすすめランキング表|6項目で公平な評価をしています