さて今回は『ピーフリー』というドッグフードについて。
Pea free、つまり【豆不使用】がコンセプトのフード。原産国はカナダとなります。
このフードはですね、日本じゃそこまで有名ではないのですが、当サイト宛に届くドッグフードのお悩み相談では意外と聞かれるフードです。
理由はズバリ『豆不使用』について、ですね!
わたしは『グレインフリーが流行った弊害』と勝手に呼んでいるのですが・・・
今のそれなりに値段のするプレミアムドッグフードって『グレインフリー』、つまり穀物不使用なものがほとんどじゃないですか?
ドライフードって製造機械の特性上、炭水化物源がバインダー(粘結剤)のような役割を担っており絶対に必要です。その炭水化物源として小麦であったりトウモロコシが使われていたのですが、これらは穀物(イネ科植物)なのでグレインフリーのフードには使えない。
ドライフードには絶対に炭水化物源が必要と言いましたが、唯一の例外はワイソンってフードです。
→ワイソン(Wysong)特殊過ぎるドッグフードについて解説
なので豆とか芋を炭水化物源として使用しグレインフリーとして販売。特に豆類はそれなりにタンパク質の含有量も多いのでよく使用されるのですが・・・
愛犬が豆と相性悪い場合困る
ですね・・・
ピーフリーってまんま豆不使用、って意味なので色々な原料をアレルギーかな?と疑い、動物性タンパク源は大体調べた。残ったのは・・・豆か?
ってなった方が行き着きやすいフード。
でもマイナーなのでちょっと不安。だから当サイトに問い合わせがくる・・・そんな感じなんですが・・・
このフードはね、めちゃくちゃデカイ企業が製造元です。
日本ではありがちなんですが、日本で有名だからと世界的に有名だとは限らない。逆に日本じゃ全く無名なのに世界的に評価されているフードがあったり。
ドッグフードって広告が大きく影響しますのでこういう現象が起こります。
という訳で今回はそんな『ピーフリー』について解説していきます。
ピーフリー・ドッグフードを製造している企業はどんなところか?トラウ・ニュートリションについて
ピーフリーを製造している会社はトラウ・ニュートリションって企業が製造元となるのですが、拠点はオランダです。
トラウニュートリション・カナダが自社工場を持っておりそこで製造しているのがピーフリー、って感じですね。
そしてこのトラウ・ニュートリションの親会社がニュートレコ (Nutreco)。さらにその親会社はSHVホールディングス(https://www.shv.nl/)なんですが、ややこしいですよね・・・笑
図で説明します。
こんな感じ。
SHVホールディングスは世界最大クラスの民間商社グループと言われており、約60,000人の従業員を擁し、58カ国で事業を展開。馬鹿でかい企業です。
その傘下にトラウニュートリションがあり、ドッグフードとしては『ホーサムブレンド』と『ライフタイム』ってブランドがあって、ピーフリーは『ホーサムブレンド』ってブランドのうちの1つ。
余談ですが、ニュートレコの傘下にはトラウ・ニュートリション以外にも『スクレッティング』って水産養殖用飼料を製造・販売している企業があるのですが、かつて私が飼料メーカーで働いている時バチバチに競合していました・・・笑
初めて当サイトを訪問して頂いた方のために説明すると、私は飼料メーカーで働いていた過去があるのですが、特に水産用養殖用飼料とドッグフードって配合設計はもちろん違いますけど、製造する機械とか同じなんですよ。
使用する原料も近いものも多い。日本国内においては『飼料』と『ペットフード』って別々の分野に分断されている事が多いのですが、単純な製造技術だけ見ると『飼料』の方が圧倒的に上です。
なのでその知識を応用してドッグフードの記事書いている、って感じですね。
話をドッグフードに戻すと、『ライフタイム』ってブランドは動物性タンパク質が単一の大型犬向けフードなのですが、日本には今のところ流通していません。
『ホーサムブレンド』はアレルギー対策をしていたり、特殊な原料の使用、製造方法が特殊、などちょっと変わったシリーズ。そんなブランドです。ピーフリーは完全に特殊なフードに分類されますので、ホーサムブレンドの商品ラインナップの1つ、そんな位置付けですね。
ちなみにピーフリー以外にも日本国内で流通しているフードはあって、『ナチュラリーフレッシュ』ってフードがそうです。
ナチュラリーフレッシュの記事はこちらから
→ナチュラリー・フレッシュを評価|ナウ・フレッシュ高い!と感じる方は読んで!!
大手のフードが良い、って話でもないですが、このように日本だとマイナーではありますが、もの凄く大きな組織に属す企業が製造・販売しているフードです。
日本だと大手のフードってやたらカラフルな着色料バリバリのフードってイメージですが、海外は大手が普通に品質の良いプレミアムドッグフード作ります。ピーフリーも悪くはないと感じますよ。
あとピーフリーが販売された経緯ですが、豆アレルギー対策というよりは【FAD(米食品医薬品局)が発表したグレインフリーフードと拡張型心筋症との関連性】これへの対策、ですね。
2018年7月にFDAはエンドウ豆、レンズ豆、その他の豆科植物の種子、ジャガイモを含む特定のドッグフードを食べた犬で拡張型心筋症(DCM』が急増している、と発表し特にエンドウ豆が心臓病と関係してるのではないか?となったのですが・・・
これ自体は後に因果関係はない、と正式発表されていますが、不安になった飼い主さんも多かった。
だから豆フリーのフードを販売した。って流れです。このDCM騒動について興味のある方はこちらの記事を読んでみて下さい。
→ヒルズが獣医師と共謀しグレインフリーのドッグフードが危険とでっち上げた!って訴訟について
ピーフリーの飼料原料および保証成分値について
ピーフリーは動物性原料が鱈(タラ)と七面鳥の2種類があって、小型・中型犬向けの高タンパク・高脂質なタイプと大型犬向けにタンパク・脂質をちょっと抑えたもの。そんな商品ラインナップです。
大型犬は小型犬に比べて代謝速度が遅いのでこれは良いと思います!
今回は小型・中型犬向けの『七面鳥&かぼちゃレシピ』をみていきます。
ピーフリー(PEA Free)ターキー&パンプキン
【原材料】
新鮮な七面鳥、キャッサバ根、チキンミール、乾燥全卵、亜麻仁、天日干しアルファルファ、トマトポマス、菜種油、新鮮なカボチャ、自然香味料, 乾燥BSFL、ニシン油(DHA源)塩、オリーブ油),タウリン、酵母エキス、乾燥チコリ根、DL-メチオニン、L-カルニチン、トマト、アニス、カシア実、タイム、ローズマリー、緑茶エキス、クランベリー、ブルーベリー、大麦若草、ショウガ根、ウコン、フェヌグリーク、アロエベラ, ,乾燥バチルス・サブティリス発酵産物、乾燥バチルス・リケニホルミス発酵産物、乾燥ラクトバチルス・アシドフィルス発酵産物、乾燥ラクトバチルス・カゼイ発酵産物、乾燥ビフィドバクテリウム・ビフィダム発酵産物、乾燥エンテロコッカス・フェシウム発酵産物、乾燥アスペルギルス・オリゼ発酵産物、ビタミン類(塩化コリン、ビタミンEサプリメント、L-アスコルビン酸‐2‐ポリリン酸、ナイアシン、βカロテン、D-パントテン酸カルシウム、ビタミンAサプリメント、リボフラビン、ビタミンB12サプリメント、チアミン硝酸塩、ピリドキシン塩酸塩、ビタミンD3サプリメント、葉酸)、ミネラル類(リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン、亜セレン酸ナトリウム、ヨウ素酸カルシウム、亜鉛タンパク化合物、銅タンパク化合物、マンガンタンパク化合物、鉄タンパク化合物、トリポリリン酸ナトリウム)、,酸化防止剤(ミックストコフェロール)
【保証成分】
粗タンパク質30.0%以上粗、脂肪19.0%以上,粗繊維4.5%以下、水分10.0%以下
カルシウム1.4%以上,リン1.0% 以上、 タウリン 0. 15%以上
DHA+EPA 0.10%以上 ,オメガ6脂肪酸3.0%以上 、オメガ3脂肪酸1.0%以上、オメガ9脂肪酸 0.10%以上、微生物150M CFU/lb.以上
389kcal(100g当たり)
タンパク質源について
まずタンパク質源について。
第一原料は『新鮮な七面鳥』となっていますが、これは明らかに『生肉』ですので、水分値が多い。生肉だけだと実質のタンパク質は少なくなるので、『チキンミール』、『乾燥全卵』、『乾燥BSFL』などから確保している、そんな内容ですね!
乾燥原料は水分を飛ばしてタンパク質を濃縮させたような状態。つまり少量でもタンパク質を確保しやすくなります。乾燥原料を使わないと配合設計上タンパク値30%以上にするのは不可能。そう判断してもらってOKです。
生肉の方がイメージ良いので、そこをグレーな表現にしているフードありますけどね。
さて、ここであまり聴き慣れない原料がありますよね。
『乾燥BSFL』ですが・・・
これは日本語にすると・・・ブラックソルジャーフライ幼虫乾燥ミール、みたいな感じ。まあ、、、ウジ虫です。
そう聞くと『えっ・・・』ってなる人多いかもですが、昆虫系ミールはですね、高タンパク・低脂質で脂肪酸バランスも良く、何よりも低環境負荷である。ちょっと注目されている分野でもあるんですよ。
水産養殖の世界でよく使われる言葉で『増肉係数』ってものがあるのですが、これは肉を1kg生産するに対して何kgの餌が必要か?その係数なんですけど、例えばサーモン(鮭鱒類)ってめちゃくちゃ増肉係数が良くて1.2くらい。
つまりサーモンを1kg生産しようと思えば1.2kgくらいの飼料が必要って事。
マグロなんかは10〜15くらいなのですごく増肉係数が悪い。
だから世界中でサーモンがやたらと養殖されているんですよ。餌少なくても大きくなるので。ついでに美味しいし。
肉系も増肉係数って悪く、増肉係数が悪ければ悪いほど環境負荷が大きい、と言えます。
そこで昆虫・・・なんですが、すぐ大きくなるし、餌は賞味期限切れの食品とか食品加工場から出るゴミとかでも良いし、世界的なタンパク質不足を解消する救世主か!?
とか言われたりしますが、何にせよイメージは悪い。
ただアレルギーとかの場合、新奇タンパク質にはなるので、こういうものがある、ってのは知っておいた方が良いかもですね。
新奇タンパク質:一般的にドッグフードに使用しないタンパク源で、アレルギーは免疫が過剰反応を起こすことで発生します。食べた事のないものだと免疫が過剰に反応する可能性が低く、アレルギー反応が出る犬でも食べられるケースがある。ウサギ、ワニ、ウズラ、カンガルー、エミューなんかが新奇タンパク質を言われますね。
そしてピーフリーの特徴である『豆不使用』。この手の配合設計のもの(生肉第一原料)はエンドウ豆なんかでタンパク値を稼ぎつつ、炭水化物源にしているパターンが多いのですが、それをしていません。
炭水化物源は主に『キャッサバ根』が担っています。
キャッサバは和名だと『イモノキ(芋の木)』、名前の通り根っこの部分が芋になっている中南米の熱帯地域が原産地の常緑低木ですね。
この配合内容だとほぼほぼタンパク質は動物性由来のものと判断できますし、良いと思いますよ!
昆虫のイメージだけの問題ですね。
というか親会社のニュートレコって培養肉とかに力入れている企業なので、こういう昆虫系とか代替タンパク系好きなんですよ。
→https://www.nutreco.com/en/news/nutreco-officially-opens-first-cell-feed-production-facility/
この分野は個人的には近い将来、ペットフード業界に参入して賛否を巻き起こす、と予想しています。(今でも培養肉使ったフードってありますけどね)
脂質源について
次に脂質源について。
犬にとって必須脂肪酸となるのはオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸ですが、ピーフリーの場合、オメガ6脂肪酸の供給源が『菜種油』、そしてオメガ3脂肪酸が『亜麻仁』と『ニシン油』となっています。
特にオメガ3は意識しないと不足しがちですが、犬にとって利用しやすいDHA・EPAを豊富に含むニシン油、さらに保証成分の表示も【DHA+EPA 0.10%以上】と記載してくれておりとても親切。
何も問題ないですね!
その他原料とピーフリーの総評
その他として、善玉菌を直接摂取する『プロバイオティクス』にも考慮されているし、プレミアムドッグフードではよく使われる人気どころのハーブ類も入っている。
また『タウリン』を添加していますが、FDAのDCM騒動ってエンドウ豆使うとタウリンの合成が阻害されて心臓病に影響している??みたいな理論でしたので、タウリンの添加は当然と言えますね。
魚系は原料由来のタウリンが期待できるのでそこまで気にする必要ないですが、肉系だと添加しておいた方が安心だとは思います。
ミネラル系も吸収性の良いキレート加工。
わたしはこれ非常にレベルの高い配合設計であると感じます。当サイト的にも十分オススメできる内容です。
ピーフリーは内容は良いドッグフードであるが問題は粒が大きい|実物を画像と動画で紹介
ピーフリーって高タンパク・高脂質なタイプが『小型犬・中型犬向け』と公式ページ(日本の代理店サイト)には記載されているのですが・・・
粒は大きめです!
まずは画像で紹介しておきましょう。
だいたい13〜14mmくらい。同じカナダのフードだと『アカナ』とかと同じくらいのサイズですね。(スモールブリードではなく、アダルドッグとかのサイズ)
おそらくこのサイズが引っかかる方多いのではないかな、と感じます。
我が家には小型犬のミニピン・イタグレがいますが、このサイズは普通に食べます。ただお悩み相談をしていると粒のサイズを気にするワンコって非常に多い。個体差ですね!
一応、動画でも紹介しておきますね。
もしピーフリーが粒が大きいと感じた場合の他の選択肢
もしピーフリーのサイズがうちの愛犬には大きい・・・ってなった場合のため他の選択肢を紹介しておきます。
まず手っ取り早いのが『ワイソン エピジェン90』ですね。これは豆どころかスターチフリー(炭水化物源不使用)のかなり特殊なフード。
豆が原因かもしれませんが、他の炭水化物源が原因って可能性もあるので、手っ取り早く判別するならワイソンがオススメです。
→ワイソン(Wysong)特殊過ぎるドッグフードについて解説
あと高タンパク・高脂質がスペック的に合わない、そんな場合もあるかと思います。そんな場合、『オージーラムプラス』ってフードがグレインフリーではないですが、豆不使用なのでチェックしてみると良いかもです。
→【オージーラムプラス】何かしらの理由で『豆・芋』を避けたい方向けドッグフード
そしてワイソンは例外として、一般的なドライフード(エクストルーダー製)は炭水化物が必須となりますが、エアドライ製法やフリーズドライ製法なら炭水化物源は必須ではないです。これで様子を見るのも良いかと思います。
→フリーズドライとエアドライのドッグフード|両者の特徴とオススメフードを紹介
おそらくはピーフリーが気になるって方は『何かしらのアレルギー』を疑っている。皮膚に赤みがあったり、カイカイしていたり。オススメの改善ステップをこちらで紹介していますので、良かったら参考にしてみて下さい。
ピーフリーの価格について|中〜大型犬であればメリット感じる価格帯です(大袋なら)
では価格について。
ピーフリーでは公式サイトでは販売されておらず、楽天かAmazonでの販売となっているので、そちらの価格を紹介しておきますね。
ピーフリー | 価格(税込) | kg単価 |
2.27kg | 6,380円 | 2,811円/kg |
11.36kg | 20,680円 | 1,820円/kg |
価格は小型・中型犬向けのものと大型犬向けのもの、どちらも同じです。
この内容で1,820円/kgであればかなり価値を感じますが・・・11.36kgとなると多頭飼いか大型犬向けになっちゃうのがネックですね!
あと、あくまでも一般的に『大型犬は小型犬のフードと比較した場合、タンパク質・脂質をちょっと落とした方が良い』これは間違い無いですが、運動量多いので普段からしっかりしたスペックのもの食べていますよ!
って場合は、別に大型犬用にする必要ないです。大事なのは愛犬に合っているか?なので。
ピーフリー|内容は非常に良いがイメージの問題と粒の大きさ、ここが問題なければ検討する価値あるフード!
今回は豆不使用の『ピーフリー』を紹介してみました。
たまに勘違いしている人いますが、グレインフリーだから良いフード・・・って訳じゃないです。
極端な事を言えば動物性タンパク源(肉や魚)を一切使用せずグレインフリーのフードって作れます。タンパク質源を豆から確保。植物性タンパク質はアミノ酸バランスがあまり良くないので、合成したアミノ酸添加しとけばAAFCOの基準クリアしてグレインフリーの総合栄養食は設計できる。
グレインフリーって非常にマーケティング要素の強い単語で、グレインフリーにしておいた方が売れるんですよ。
そして冒頭に言いました、『グレインフリーが流行った弊害』が起こる。
炭水化物が悪、って説はずっとありますが、豆にしろ芋にしろ炭水化物は含まれていますし、別に炭水化物が100%悪かと言えばそうとも言えません。
犬にとっての炭水化物についてはこちらの記事を
→犬にとって炭水化物は必要なのか?国産と海外製プレミアムドッグフードで比較
グレインフリーではないプレミアムドッグフードのピーフリー。悪くないと思いますよ!
では今回はこの辺で。こちらに当サイトで評価の高かったフードをまとめていますので、フード選びに迷ったらこちらも参考にして頂けると嬉しいです!