今回は国産のプレミアムドッグフード『wanfoo(ワンフー)』の解説となります!
実はこのフード、かなり多くの方から記事書いて欲しい、と依頼があったフードなんですが、ここ最近忙しくやっと着手した、って感じです。
相談内容は『ブリーダーさんから勧められたのですが、どう思いますか?』という内容が非常に多く、ワンフーとブリーダーは何か利害関係あるのか?ちょっと疑っていたり・・・
ワンフー最大の特徴はうさぎ肉の使用、となりますが、うさぎ肉って新奇タンパク質に属すでしょうし、アレルギーに悩む方にはありがたいフードではありますね。
新奇タンパク質
新奇タンパク質とは犬が食べ慣れていないタンパク質。アレルギーって多く食べているものほどなりやすい。って説があります。かつてドッグフードに使用される動物性タンパク源はほぼ鶏肉しかなく、ニュートロのラム&ライスが登場した時に一気にアレルギーが軽減し大絶賛された、って話があります。
ラムは今となってはよく使われる原料ですが、当時は新奇タンパク質であった。だからチキンアレルギーを回避できた、って事ですね!
ただ一方でアレルギー対策など特別な理由がなければあえてこれを選ぶメリットあるかな?とも感じる。
では詳しく解説していきます。
ワンフー最大の特徴である『うさぎ肉』、これを原材料として使うメリットはあるか??
ワンフー最大の特徴である『うさぎ肉』について。
原料単体として見れば高タンパクであり、鶏(胸肉)に比べて鉄分や亜鉛といった犬の要求量の多いミネラルが豊富。原料としては非常に良いものである事は間違いありません。
ただ冒頭でも言いましたが、あえてこれを与えるメリットは?となると・・・どうでしょう。
同じものを食べ続けるとアレルギーになりやすい。じゃあ特別アレルギーのない状態なら『うさぎ肉』をあえて与えるメリットってある??って事ですね。もし何かしらのアレルギーになった場合に考えれば良いのでは??
貴重な新奇タンパク質である『うさぎ肉』のカードを今切らなくても・・・それ勿体なくない??
これが率直な意見です。
ただし保証成分で見た場合、ワンフーって高タンパク・低脂質なフードではある。海外製プレミアムドッグフードは高タンパクなフードはいくらでもありますが、同時に高脂質でもある事がほとんど。
この成分値が合っている、と感じれば検討する価値はあるかと思います。
ただフードのタンパク源、そして脂肪酸バランスなんかを見ると・・・正直そこまで積極的にオススメできるフード、とは言えないのですが。ではその辺りを見ていきましょう。
ワンフー・ドッグフードの使用原料および保証成分を評価
ワンフーにはいくつか商品ラインナップがあって、動物性タンパク源がうさぎ肉オンリーのものもあれば、鶏肉も使っているもの、また高タンパクタイプなど色々と種類はあるのですが・・・
せっかくなのでうさぎ肉オンリーの『ワンフーラブガド』について見ていきましょう。使用原料および保証成分がこちら。
ワンフーラブガド(wanfoo RABGADO) | 内容量:1kg(200g×5袋)、3kg(200g×15袋)、6kg(200g×30袋) |
【原材料】 ウサギ肉・米・米ぬか・コーンフラワー・コーンタンパク・小麦ブラン(ふすま)・さつまいも・りんご・アボカドオイル・アルファルファ・ビール酵母・リン酸カルシウム・炭酸カルシウム・北沙参・菊花・昆布・寒天・塩化コリン・ミネラル類(鉄、銅、ヨウ化カリウム、亜鉛、マンガン、セレン)・ビタミン類(A、D、E、B1、B2、B6、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、B12)・イノシトール・アミノ酸(メチオニン)・米油・かつおぶし・食塩 【保証成分】 粗たんぱく質28.1%以上, 粗脂肪9.3%以上, 粗繊維1.8%%以下, 粗灰分5.0%以下1, 水分 10%以下
代謝エネルギー400.0kcal/100g |
シンプルな配合内容。成分値的にはややタンパク質が高めで低脂質。国産プレミアムドッグフードに多いタイプですね!
タンパク質源について
まずタンパク質源について。ドッグフードは使用されている原料のうち重量比が高い順、つまり重い順に記載するルールがあります。
そして最も重いもの=最初に記載されているものを『第一原料』と呼びますが、ワンフーラブガドの場合は『うさぎ肉』です。うさぎ肉がアピールポイントなのでそりゃ当然ですね。
ただし、これは水分量の多い生の肉となりますので、実質のタンパク質としてはそこまで多くない。なので『米・米ぬか・コーンフラワー・コーンタンパク・小麦ブラン(ふすま)・さつまいも』ここらからのタンパク供給がかなり多い。
そして特に『コーンタンパク』。これはトウモロコシ由来のタンパク質を濃縮したもの。ここからのタンパク質供給がかなり多いと推測できます。
また誤解しやすい点として、『小麦ブラン(ふすま)』が使用されていますが、小麦ブランって小麦の粒の表皮部分のことであり、ここには『グルテン』は含まれておりません。つまり小麦アレルギーでも大丈夫ではあるのですが、多少混ざっている可能性はあるため重度のアレルギーの場合は避けた方が良いですね。
で、小麦ブランは食物繊維が豊富なのですが、保証成分を見るとそこまで高くない。むしろ他のフードと比較するとかなり低い部類です。という事は配合はそこまで多くなく、重量比としては【ウサギ肉・米・米ぬか・コーンフラワー・コーンタンパク】これらが大半を占めそうです。
一見するとうさぎ肉主体、にも見えますが、実質のタンパク質は何由来なのか?と考えた場合、米とトウモロコシが主となる。安価なフードであれば良いですが、このフードはそこそこ値段しますので、タンパク質の面ではそこまで魅力を感じません。
脂質源について
特に気になった点が脂質源です。
犬にとって必須脂肪酸となるのはオメガ6とオメガ3脂肪酸となります。このフードは低脂質なフード。それ自体は良いのですが、まずオメガ6(リノール酸)ですが、このフードだと『米油』が主な供給源。
ちなみに米油は『オレイン酸(オメガ9)が約42%、リノール酸(オメガ6)が約36%』の脂肪酸組成となっています。
動物性の油脂に比べれると一般的には食いつきは劣るでしょうが、まあこれは良いとして・・・問題はオメガ3ですね。
オメガ3脂肪酸供給源がこれと言ってない。もちろんうさぎ肉にも微量ながら含まれますが、普通は何かしら明らかなオメガ3供給源がある。例えば亜麻仁なんかがそうですね。亜麻仁の効果はやや疑問ではありますが、いやせめて亜麻仁くらいは配合しておこうよ!!ってのが正直な意見。
なぜこのように脂肪酸のバランスが良くないのに『総合栄養食』として成り立つか?勘違いされている方がいますが、総合栄養食だからバランスの良い内容、って訳ではありません。
総合栄養食はAAFCOの基準値を満たす事が条件ですが、AAFCOの基準値ってあくまでも最低限の品質を保証する、そんなレベル。脂肪酸の基準を見てみると・・・
犬にとって利用しやすいオメガ3(EPA・DHA)について成犬用だと基準値無いんですよ。じゃあ成犬はどうでも良いのか?ってなるとそんな訳ない。
この話は詳しくすると長くなるので、こちらの記事にまとめています。より詳しい情報を知りたい方は読んでみて下さい。
正直・・・脂肪酸組成はあまりよろしくないですね。
その他使用原料およびワンフー・ラブガドについての総評
その他ですが、一応は『北沙参・菊花・昆布・寒天』など独自性のある原料も使用している。これらの効果を説明しても良いのですが・・・
やっぱり品質を判断するのは主原料がメインなんですよ。
正直言うとあまり積極的にはオススメしません。ただし・・・
- 国産フードにこだわりがある
- 高タンパク・低脂質が良い
- うさぎ肉でならない理由がある
このような何かしらの理由があれば分かります。国産のプレミアムドッグフードってOEMばかりで中身一緒、もしくはほぼ同じ。商品名だけ違うようなフードが蔓延していますが、ワンフーは自社製造で独自性がある。
そう言う面では応援したフードではありますが、広くオススメできるタイプのフードではない。なぜブリーダーでこれを推奨する人が多いのかよく分からない、ってのはこれが理由です。
私だったらそうですね・・・トウモロコシタンパクや米糠といった植物性タンパク質を稼ぐための原料はやめる。うさぎミール、うさぎフレークなどに置き換える。
あと亜麻仁は一応配合しておいて、おそらく設備の関係で魚油など魚系オイルはおそらく扱えないので、原料に魚系原料を加えるか、主なタンパク源はうさぎ肉のみにするなら、今は魚油を粉末状にしたような原料もあるので、それを配合してDHA・EPAの供給源にする。
もちろん原価は上がりますが、これくらいやってくれれば良いフードになりそうなんですけどね。
国産のプレミアムドッグフード選ぶ方って値段はともかく愛犬には良いものを、って方でしょうから、そっちの方が長い目で見たら売れる気もするのですが・・・まあ難しいところですね。
同じく独自性のある国産プレミアムドッグフードであるなら『金虎 おさかな 』の方がオススメです
ワンフーラブガドの実物を画像で紹介|『おさかな』と比較
ではサンプルを入手したのでワンフーラブガドの実物画像を紹介しておきます。
あとワンフーって動物性原料がうさぎ肉のみの『ラブガド』以外にうさぎ肉&鶏肉タイプの『プレミアムドッグ』って商品もあります。こちらは小粒(8.5mm)と大粒(14mm)があるようですが、ラブガドについては小粒のみ、のようですね。
また先ほど軽く『おさかな 』を紹介したので、それと比較しておきましょう。
まずラブガド単体はこちら。
これだけだと分かりにくいので、ノギスで測定。おさかなと比較した画像がこちら。
ワンフーは公式サイトに記載されている通り小粒タイプは8.5mm。おさかなはそれよりちょっと大きいくらいです。
ワンフーの価格について|内容に対してのコスパは良いか??
では価格も見ておきましょう。
ワンフーについては楽天など大手ネットショップでも販売されていますが、公式サイトでの価格を紹介しておきます。
プレミアムドッグ(ウサギ&鶏) | 価格(税込) | kg単価 |
2kg(200g×10袋) | 4,180円 | 2,090円/kg |
6kg(200g×30袋) | 10,890円 | 1,815円/kg |
12kg(200g×60袋) | 20,850円 | 1,738円/kg |
ラブガド(ウサギ肉のみ) | 価格(税込) | kg単価 |
1kg(200g×5袋) | 3,520円 | 3,520円/kg |
3kg(200g×15袋) | 9,400円 | 3,133円/kg |
6kg(200g×30袋) | 17,560円 | 2,927円/kg |
プレミアムドッグ(ウサギ&鶏)、ラブガド(ウサギ肉のみ)、どちらも・・・コスパはあまり良くない、と感じます。この内容でこの価格はかなり高い。
ちなみに今回はプレミアムドッグ(ウサギ&鶏)についてはあまり触れていませんが、この原料表示ってこれ。
ラブガドとの違いは赤線を引いた部分になりますが、鶏の方が最初に記載されているじゃないですか?つまり実質の栄養源としてそこまで多くない、これはラブガドと同じ。そしてそこまで多くない肉類でもウサギ肉ではなく、鶏の方が割合多い、って事ですね。
やはりこれを積極的にオススメする理由はないかな、と。
ワンフーの総評|自社製造という魅力は確かにある!今後の商品開発を期待したい
さて、今回はワンフーについてでした。ちょっとマイナスな内容となってしまいましたが、個人的には応援しているフードの1つなんですよ。
と言うのもワンフーって環境プラント工業株式会社という会社のワンフー事業部が販売しているフード。鳥取の会社です。産業廃棄物収集運搬業とかやっている会社なんですが、ペットフード事業部がある、って感じですね。
記事内でも言いましたが、国産のプレミアムドッグフードってOEMばっかり。つまり委託製造して自社ブランドとして販売している。って事。
委託製造しても独自性のある良いフードだったら良いのですが、実情は中身同じで名前だけ違う、みたいなフードばかり。独自性なんてものはあったもんじゃありません。
ワンフーに関しては委託製造じゃなく、自社工場を持っていてそこで製造している。なのでやりようによっては良い商品をどんどん開発できます。ここが大きな強み。
現時点では正直あまり魅力を感じない。が、今後はどうなるか分からない。
ぜひ良い商品を開発して頂きたいと陰ながら応援しております。
では今回はこの辺で。こちらに当サイトで評価の高かったフードをまとめたランキング記事を作成しています。フード選びに迷ったらこちらもぜひ参考にしてみて下さい。
ドッグフードおすすめランキング表|6項目で公平な評価をしています