今回は特定のドッグフードについての解説ではなく、ドッグフードの製造方法について。
当サイトではドッグフードのお悩み相談を実施していますが、そこで感じるのは原材料や保証成分値について気にしている方は多いです。しかし『ドッグフードがどう製造されているのか?』、『製造方法による特徴は?』などはあまり気にしていないケースが多いように感じます。
ただこれは仕方ない面もあって、製造方法に関して詳しく説明しているメーカーって少ない。
という訳で今回は代表的なドッグフード(ドライフード)の5つの製造方法について解説していきます。
例えばほとんど(9割以上)のフードはエクストルーダーという機械で製造されていますが、フードジプシーとなっている方はほとんどがエクストルーダーなので、そればかりを試してしまう。
製造方法が変われば『物性』も当然変わる。それでフードジプシーを卒業できるケースもある。
このように製造方法による違いを知る事は愛犬に合うフードを探しやすくなるので、ぜひ記事を参考にしてみて下さい。
ドッグフードの製造方法①|最も一般的なエクストルーダー製のメリット・デメリット

まず最も一般的な製法である『エクストルーダー』について。
冒頭にも書いたようにドライフードはほぼこの製法となります。多くのメーカーが採用している製法であるので、その分、批判されやすい製法でもありますね。
ただ逆に言うと多くのメーカーが採用しているって事はメリットが多いからとも言える。
エクストルーダーは簡単に言えば混ぜ合わした原料をスクリューで押し出し粒に成形する機械。分かりやすい動画を見つけたのでこちらを参考にしてみて下さい。
動画のスクリューは一本ですが、スクリューが二本付いているものもあったり、エクストルーダーと言っても機械の性能・規模に違いはありますが、基本はこのような構造。
ではエクストルーダーのメリット・デメリットを解説していきます。
エクストルーダーのメリットについて
エクストルーダーをドッグフードの製造で採用するメリットは以下のものとなります。
- でんぷんのα化が造粒と同時にできる。
- 時間あたりの製造量が多い
- 高温・高圧化で加工されるので殺菌効果があり安心感が高い
まず『でんぷんのα化』について。
エクストルーダー製のドライフードには炭水化物源が必須です。これは粒の形を形成するため炭水化物がバインダーとしての役割を担っているため。
炭水化物とは簡単に言うと『糖+食物繊維』の総称、となります。
糖にも『単糖類』、『二糖類』、『小糖類』、『多糖類』、『糖アルコール』と色々種類があるのですが、ドッグフードの原料として使用されるものだと糖質の大半は多糖類の1つである『でんぷん』と考えて良いです。
『でんぷん』には【αでんぷん】と【βでんぷん】の2種類があり、イメージしやすいのはお米ですね。

生米の状態は分子構造が規則的に並んでおり、でんぷんを分解する『アミラーゼ』という酵素が入り込めない状態になります。だから消化しにくい。水と熱で加熱する、つまり米を炊くとこの分子構造が崩れアミラーゼが入り込める状態に変化します。
これをα化、または糊化と呼びます。
エクストルーダーで製造すると米を炊いているのと同じ現象が起こるので、炭水化物源(でんぷん)がα化する。だから犬が消化吸収できる。ここが最大のメリットですね。
次にエクストルーダーは他の製造方法に比べて時間あたりに製造できる量が多い、これもメリットです。
フードは価格も重要な要素。製造効率が高いって事は価格も安くできるって事ですね。
最後に安全性。ペットフードのリコールで多いのが『サルモネラ菌』の発生。2019年には日本でも生活クラブが販売してたオヤツでサルモネラ菌による微生物汚染。68匹のペットに嘔吐や下痢、血便、死亡などの症状が発生した重大な事故がありました。
2019年に発生した㈱ノース・ワン製造の「犬・猫用ささみ姿干し 無塩」による健康被害
→https://seikatsuclub.coop/news/detail.html?NTC=1000000274
エクストルーダーは高温・高圧化で加工されますので、サルモネラ菌など食中毒を発生させる食中毒菌のリスクが低いと言えます。
※サルモネラ菌は75℃以上で1分間以上加熱すると死滅します。
その他にも機械によっては加工度が非常に高いので生肉を多く使えたり、エクストルーダーは高圧化で造粒される関係で多孔質の構造となる。そのためオイルの後添加をしやすい、など他にもメリットはありますが、主なメリットでは上記解説した『でんぷんのα化』、『生産性(価格)』『安全性』となります。
エクストルーダーのデメリットについて
エクストルーダーの主なデメリットはこちら。
- 原料に炭水化物が必須になる
- 高温・高圧加工による酸化、タンパク質の変性など品質劣化
大きくはこの2つ。エクストルーダーのメリットで『でんぷんのα化』がある。と言いましたが、これは同時にデメリットでもあって根本的に犬にとって炭水化物がどうなのか?って懸念はあります。
犬は雑食性があるとは言え、基本的にはタンパク質と脂質から栄養を摂取する動物。
特に安価なフードは穀物の使用割合が多いので、当然ながら炭水化物も多くなる。炭水化物(糖類)は最終的にブドウ糖に分解されますが。それが中性脂肪に変換、皮下脂肪や内臓脂肪として蓄えられるので肥満や糖尿病になりやすい。ってのは確かにあります。
ただ犬にとってどれくらいの炭水化物が適切なのか?多少は炭水化物あった方が良い、など様々な説があるので一概に悪とは言えないですけどね。
例えば高タンパクで有名な『オリジン・アカナ』は炭水化物に否定的な考え方なので、エクストルーダー製のドライフードとしては非常に炭水化物が少ない。
これは単純に炭水化物を減らした設計にしたら良いって話ではなく、機械のスペックが高い事、高度な製造技術があるから可能。残念ながら国産のエクストルーダーはここまでのレベルには至っていません。
→高品質なドッグフードなら【アカナ・オリジン】をオススメする理由
次に品質面について。
安全性という意味では高温・高圧加工には殺菌というメリットがあります。ただ品質面で見るとオイルの酸化、タンパク質の変性などの品質劣化はします。また何度も言っているようにエクストルーダーでの製造には炭水化物源が必須。
炭水化物を高温・高圧化で加工すると『アクリルアミド』という物質が発生します。これは発がん性があると言われており、高温・高圧加工を嫌う方はここを心配される事が多いですね。
ただエクストルーダーが全て超高温なのか?と言えばそうではなく、これらデメリットを回避するため、製造能力を犠牲にしても出来るだけ低温で加工している事もあります。先ほど紹介したアカナ・オリジンもそうです。
このようにメリットとデメリットって表裏一体みたいな所があって、何を優先するか?が重要であると感じます。
オイルコーティングの有無について

当サイトでは何度か『オイルコーティング』について解説していますが、重要な事なのでここでも書いていきます。
おそらく多くの方は【オイルコーティングは悪】と考えているかも知れませんが・・・そうとも言えません。
エクストルーダーがどういう機械か?は紹介したので、製造過程はイメージできるかと思いますが、『ノンオイルコーティングって事はオイルと原料を混ぜ合わせたものがエクストルーダーを通っている』って事ですからね?
逆にオイルコーティングしているって事は『エクストルーダーを通過した後に添加』しているって事。
魚系オイルなどはオメガ3脂肪酸(EPA・DHA)メイン。これは熱に非常に弱い。高温・高圧化のエクストルーダー通過したらどうなるか?当然思いっきり劣化します。
だから後で添加しているんですよ。
オイルに熱に弱い原料(ビタミンなど)を混ぜて添加しているケースもありますね。
エクストルーダーって高圧化で加工されるので、それが通常の気圧(1気圧)に戻った際、粒内部の水分が飛び出すため無数の細かな穴が形成される、って特徴があります。この細かな穴を利用して内部にオイルを浸透させる。
これ単純に表面にオイルを振りかけるスプレー方式もありますが、真空状態にして穴の内部へオイルを浸透させる、という高度な技術もあったりと・・・
品質的なメリットもあってオイルコーティングはされています。
個人的にはオイルコーティングはされている方が理にかなっていると感じています。
ただ広告によるイメージ的なものもあって国産においてはノンオイルコーティングの方が売れる。
エクストルーダーで製造された粒は無数の小さな穴が形成される(多孔質になる)と言いましたが、だからオイルの添加と相性が良い。他の製法で『ノンオイルコーティングです!』とかアピールしているフードありますが・・・
そもそもオイルコーティングに適してない製造方法なのに何言っているの??ってなる。
後で紹介しますが、コールドプレス製法はまず間違いなくノンオイルコーティングをアピールしていますが、コールドプレス製法でオイルコーティングしているなんて海外製ペットフードも飼料の世界でも聞いた事ないです。
だって物性的に相性悪いから。
このように広告的な表現が飼い主さんに間違った印象を与えているってケースは多いです。
オイルコーティングするには製造工程が増えるし、そのための設備も必要。利益を確保しないといけない企業が無駄にそんな事するはずなく、意味があってやっています。
オイルコーティングは悪とも言えない。ぜひこれ知っておいて下さい!
エクストルーダーについてのまとめとオススメのフード
エクストルーダーは世界的に見れば9割以上がこの製法を採用しているメジャーな製造方法です。
だから否定されがちでもありますが、多くが採用しているって事はメリットも多い。
ただ良いフードと粗悪なフードが混在しており、結局どれが良いフードなのか?これを判断しにくい、とは感じます。
保証成分にも幅がありますし、合う・合わないがあるので、エクストルーダー製でこれが良いですよ!と言いにくいのですが、高タンパクなフードだと先ほど紹介した『アカナ・オリジン』、低〜中タンパクであれば『ファルミナN&D』、ちょっと高いですがこれはオススメ。
あと価格についても重要な要素。内容・品質ともに非常に良いのが『ニュートラム』ってフードですね。
コスパが良い、って表現を嫌う方いますが、ドッグフードの価格って広告費がかなり影響している。あと小売メインかネット販売メインかでも流通コストが違ってきて、コスパの良いフードってあるにはあるんですよ。
ぜひこちらの記事も読んでみて下さい。
ドッグフードの製造方法②|コールドプレス製法のメリット・デメリット

次にコールドプレス製法について。
最近、国産でこの製造方法を採用するフードが多くなった、と感じます。まあ・・・ほとんどがOEMですが。
コールドプレス製法も機械の規模が大小ありますが、基本的にはこちら動画のようなシステム。
上記動画ではローラーによって押し出されていますが、小規模な場合、パスタを押し出すようなイメージで簡易な構造のものもあります。
エクストルーダーと比べて頂くと良いのですが、要するに混ぜ合わせた原料を低圧・低温で押し固め造粒している、そんな製造方法ですね!
ちなみにこの方式は飼料やペットフードだけじゃなく、ウッドペレットなど燃料を製造する際にも使われていたりします。
ではコールドプレス製法のメリット・デメリットについて解説していきます。
コールドプレスのメリットについて
コールドプレスでドッグフードに製造するメリットは以下のものとなります。
- エクストルーダーに比べて低温・低圧なので栄養素の劣化が少ない
- 胃拡張・胃捻転のリスクが抑えられる(と言われている)
エクストルーダーが多く採用されていると同時に否定されやすい製造方法でもある、と言いましたがその1番の理由が高温・高圧での製造だから。
コールドプレス製法はドライフードでエクストルーダーのライバル関係みたいになっており、コールドプレス製法の場合、必ず『低温・低圧』で製造している事をアピールします。これはまあ正しい。栄養素の劣化という意味ではエクストルーダーに勝るとは言えます。
あとエクストルーダーって高圧で製造している関係で水にふやかすとやや膨らみます。コールドプレスはそれがない。膨らまずそのまま崩れていきます。
エクストルーダーとの比較でよくこういう動画が使われますが、コールドプレスの主張は見た通り、崩れやすいので消化がしやすい。
膨らまないので胃捻転・胃拡張のリスクが抑えられる、ですね!
で、たまにエクストルーダーのように水に浮くフードはダメ!と間違った情報を流布しているケースがありますが、これは間違い。
エクストルーダーは圧力調整できますので、沈める、浮かせるは条件設定で何とでもできます。
養殖用の飼料はエクストルーダーで製造される事が多いのですが、海で養殖する場合は沈むように製造します。室内養殖のヒラメなんかは逆に浮くように製造します。
ただ個人的にはこの動画の見せ方はちょっと誇張気味と考えています。動物の消化管はこのように静止した状態じゃありませんし、浮くか沈むかは既に説明した通り、条件設定でどうとでもなる。
エクストルーダーと比べて胃拡張・胃捻転のリスクが低減するという科学的根拠はないです。
胃拡張・胃捻転リスクはどちらかと言うと早食いさせない。食べた後に激しい運動をさせない、の方が重要なんじゃないかと・・・
コールドプレスのデメリットについて
ではデメリットについて
- でんぷんのα化がされない
- 製造に若干手間(事前調理)が必須
- 低温・低圧だから食中毒リスクはちょっと怖い
エクストルーダーは造粒と同時にでんぷんがα化する事がメリットでしたが、コールドプレスは低温での製造ですのでα化しません。
コールドプレス製法も炭水化物源は使われるので、どうするか?事前に調理する事が必須となります。
つまり米だったらエクストルーダーの場合、生米のまま原料として使えますが、コールドプレス製法だと事前に調理してα化した状態のものを原料にする必要がある。なので若干手間がかかる。ここはデメリットと言えます。
で、これはドッグフードのお悩み相談で何人もの飼い主さんに話を聞いての感想なんですが・・・
コールドプレス製法のフードを与えて下痢、嘔吐するってめちゃくちゃ聞きます。この原因ってα化にムラがあるのではないかと。まあこれはあくまでも予想ですけどね。
そして合う・合わないの個体差も大きいと感じます。例えば我が家は3頭多頭飼いなのですが、サツマイモとか炭水化物が多いものを与えると、1頭はほぼ必ず吐きます。2頭はバクバク食べても平気。
このように炭水化物が苦手なタイプだと合わないかな、と。
タンパク質で見るとエクストルーダーより品質は良くなる、それはそうですが、炭水化物で見た場合、消化性についてそこまで優っているか?
また低温・低圧ってのは魅力的に見えますが、安全性で見た場合、食中毒リスクはエクストルーダーの方が安心感はあります。
コールドプレスのまとめとオススメのフード
コールドプレス製法って飼料の世界では『DP(ドライフード』と呼ぶのですが、なぜかペット業界だとコールドプレス製法と呼ばれており、これ凍結されている、とかオリーブオイル、ジュースなどを抽出するコールドプレス製法と混同されていたりと勘違いしている方が多いです。
実際の製法は非常に単純で原料を押し固めただけ、です。それが魅力でもあるんですけどね。
エクストルーダーは海外製も色々とあって選択肢が多いのですが、コールドプレス製法は数も少ないし、選択肢が少ない。ここもデメリットと言えるかもです。
有名どころだと『TRIBAL(トライバル)』、あと最近よく見かけるようになった『Kennels`.Favourite(ケンネルズフェイバリット)』などがコールドプレス製法ですが、どちらもかなり炭水化物が多いフードですし、広くはオススメしにくい。
個人的には『ビルジャック』がオススメなんですが、これは添加物(酸化防止剤)の関係で賛否がありますからね・・・
国産のコールドプレスについては価格は別にして内容はそう悪くない。国産が気になる方はこちらの記事を読んでみて下さい。
→【ワンディッシュ】を例に国産・無添加ドッグフードの裏側を暴露する!
ドッグフードの製造方法③|オーブンベイク製法のメリット・デメリット

次にオーブンベイク製法について。
オーブンベイク製法は小規模なら国産でも採用している事はありますが、大規模な工場では採用されていません。
もっと国産のオーブンベイクが広まれば、と感じますが製造効率悪いですからね・・・
手作業でやっている事もありますが、大規模な工場であれば上記のようなシステムです。
フードの粒を作る工程は『ロータリーモルダー』というコンベヤーベルトの摩擦力によって剥がし成形する機械が使われる事が多く、形状は違うものの内容的にはコールドプレス製法とそう変わらないです。
ただ乾燥工程が違っていて、動画の後半で長い機械がありますが、あれがオーブン。
成形した粒をオーブンで低温で焼いて調理・乾燥する、そんな製造方法。規模は違いますが、家庭でクッキーをオーブン使って作る。これと同じと考えて良いです。
物性的にはエクストルーダーと違って、サクサクした食感になります。この食感を好むってケースも多いので、フード選びに悩んでいる方はオーブンベイク製法のものも試す事をオススメします!
オーブンベイクのメリットについて
オーブンベイクでドッグフードに製造するメリットは以下のものとなります。
- 低温での加工なので栄養素の劣化が少ない
- 焼く工程によってサクサクとした噛み砕きやすい物性・風味が保たれる
- わざわざオーブンベイク製法を採用するって事は原料が高品質である事が多い
まずは低温での加工なので栄養素の劣化が少なく、また原材料由来の風味が残るという事。そして一番重要ポイントは『低温で長時間加熱』する、ここですね!
コールドプレス製法で考えてみて下さい。確かに粒を成形する段階では低温での加工です。ですが粒に加工した直後ってかなりの水分を含んだ状態です。つまり乾燥させなければならないのですが・・・
どのように乾燥させているか?ここって抜け落ちている。
オーブンベイク製法はその乾燥方法がどういうものか?ここが判断できるのが良い。
物性面では焼く工程が入るので、サクサクした食感になります。これを好むってケースも多く、特にシニアで今までのフードが食べずらそうに感じるのであれば試してみると良いですね。
で、やっぱりオーブンベイク製法ってエクストルーダーに比べると全てにおいて効率は悪い。あえてこの方式を採用するって事は原料品質や内容にこだわっている事が多く、結果的にオーブンベイクを選ぶとまずハズレはない。これはあります。
オーブンベイクのデメリットについて
デメリットは『製造コストが高くなる』これに尽きます。つまり単価がやや高い。
エクストルーダー、コールドプレス、オーブンベイク、見た目で言えばこれらが『カリカリ』と呼ばれるフードですが、間違いなく一番製造コストが高くなります。
デメリットと言えばコスト面くらいで、品質面ではカリカリのカテゴリーだと一番良いと感じますね。
ただこの後に紹介する『エアドライ』『フリーズドライ』と比較するとやはり炭水化物源は多少使う必要があるので、配合内容に制限はありますが、ここが問題になるケースってほとんどない気がします。
オーブンベイクのまとめとオススメフード
オーブンベイク製法、品質面で非常に良い製法なのですが、問題はカナダで発生した鶏インフルエンザの影響で、魚系以外のものが輸入規制かかっている事です。
エアドライとかフリーズドライも輸入規制かかっていますが、これらは他の国のものもあるので問題ないが、オーブンベイクって大体カナダ。
ニュージーランドも鶏インフルエンザ発生してフリーズドライのK9なんかは供給不安になっていますが・・・
なので現状、オススメしたいけど物がない。
魚系で良ければオーブンベイクトラデションがオススメです。
ドッグフードの製造方法④、⑤|エアドライとフリーズドライのメリット・デメリット

エアドライとフリーズドライについては過去記事で詳しく製造方法を解説しておりますので、こちらを読んで頂ければ良いのですが・・・
簡単に説明しておくと、エアドライ、フリーズドライこの2つの最も大きなメリットが『炭水化物源を必要としない』です。
つまり『ほぼ肉』のような配合設計にできるという事。
エクストルーダー、コールドプレス、オーブンベイク、いわゆる『カリカリ系』は粒の形状にするため炭水化物源がバインダーとして必須。
エアドライ、フリーズドライはこの炭水化物源が必須ではない。つまり炭水化物の割合が極端に少ないので、結果的に保証成分が超高タンパク・超高脂質になっています。
エアドライは空気乾燥。フリーズドライは真空状態で氷から直接水蒸気に変化させる『昇華』という現象を利用して乾燥させています。
エクストルーダーに比べると低温での加工となるので栄養素の劣化は少ない。これはそう。特にフリーズドライは熱を一切使わない乾燥方法となるので品質面ではデメリットないように見えますが・・・
凍結による細胞の破壊、そしてフリーズドライで乾燥するとスポンジ状になり表面積が大きくなるので、商品開封後は酸化しやすいというデメリットはあります。
ただしスポンジ状になると水分を吸収しやすいので、水やぬるま湯ですぐふやかせるというメリットもあります。
エアドライももちろんエクストルーダーに比べるとマシですが、酸化しない訳ではない。これはコールドプレスやオーブンベイクも同じ事ですけどね。
そして製造効率は悪いし、フリーズドライは設備自体も高額になってしまう。またエアドライ・フリーズドライは基本『ほぼ肉』な設計にしないと意味がないので、原料原価も高い。つまりフードの単価が高くなる、これも消費者的にはデメリットと言えます。
ドライフードの5つの製造方法|どれもメリット・デメリットがあって何が一番優れている、とかは無い

さて、5つの製造方法について紹介してみましたが・・・
これね、どれが一番優れている、とかは無い。全てにメリット・デメリットがあります。それぞれの特徴を把握して、どれが愛犬に合っているか?を考えるのが重要なんじゃないかな、と。
また今回紹介した製造方法は分かりやすいよう大規模な工場の場合、で紹介しています。
工場って『ライン生産』と『バッチ(ロット)生産』、2種類の生産方式があるのですが、ライン生産は原料投入から包装するまで流れ作業で進んでいく感じ。これは大量生産に向いて製造コストを抑える事ができます。
一方でバッチ生産は各工程が分断されていて手間がかかる、つまりコストが高くなる。しかし何か問題が発生したらどの工程で問題が発生したか?など特定しやすく品質管理面ではメリットがある。
このように工場の生産方式でもメリット・デメリットは違ってきます。
オーブンベイクなんかはバッチ生産でやっているとこも多い印象がありますね。
このように今回紹介した製造方法が全てのフードに当てはまるって訳じゃないので注意して下さい!工場(機械)の規模、生産方式でもかなり変わってきますので、あくまでも参考程度に。
では今回はここまで。こちらの記事が愛犬のフード選びに役立てれば幸いです。