ここ最近当サイトのInstagramにてドッグフードのお悩み相談を受けているのですが、思う事は・・・
皆さん、思った以上に愛犬の事を考えてドッグフード選びをしている!!すごく失礼な話ですがもっと『パッケージとかの見た目で判断している』って思っていました!
実際のところは真剣に考え、悩み・・・・そして混乱して訳が分からなくなっている・・・そんな印象です・・笑
中には悩み過ぎて広告に引っかかり中身ほぼ同じドッグフードをループしている人もいました・・・
以前投稿した記事で物凄く反響があった記事がありまして・・・それがこちら。
どうして中身自体は『普通』なのに売れるのか?当然ですがアフィリエイト広告の存在は大きい。ですがその他にも原料表示のカラクリがあります。こちらの記事ではそのカラクリを暴露。なぜ売れるのか詳しく解説しています。
ドッグフードの原材料表示についても分かりやすく解説しているのでドッグフード難民の方はぜひ参考にしてみて下さい。
ドッグフードの正しい見方|まずは主原料の確認。第一原料に潜む罠
では早速実際に国内プレミアムドッグフードの原料表示を例にして解説していきましょう。なぜ『売れやすい』商品が出来上がるのかよくわかると思います。
題材にするのは『このこごはん』です。ネットによくあるドッグフード評価サイトでは間違いなくSランクだの絶賛されているもの。当サイトに言わせれば工夫のかけらもない数あるコピー商品のうちの1つですけどね。
このこごはんの原料表示はこちら。まずは第一原料について見ていきましょう。第一原料とは原料表示で一番最初に記載されているもの。ドッグフードは配合割合の多いものから順に記載するルールがあります。つまりそのドッグフードで一番多く配合されているものです。
このこごはん
鶏肉(ささみ、レバー)、玄米、大麦、ビール酵母、鰹節、米油、乾燥卵黄、鹿肉、まぐろ、青パパイヤ末、モリンガ、さつまいも、わかめ、昆布、乳酸菌、セレン酵母、L -トレオニン、ミネラル類(牛骨未焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB12、パンテトン酸カルシウム)
原料表示を見ると『鶏肉(ささみ、レバー)』となっています。つまりこのこごはんでは鶏肉が最も配合割合が多いとわかります。
第一原料が動物性タンパク源(肉や魚)というのは品質の良いドッグフードを選ぶ指標の1つとなりますが、注意点があります。それは・・・
配合割合が最も多い=最も重いもの
という事。
確かに最も配合割合が高いのは事実ですが・・・生肉ってほとんど水分ですよね?そりゃ重くなる。そしてドッグフードが出来上がった頃には水分値は10%程度まで落ちる。鶏肉(ささみ)の水分量って75%くらいあります。ドッグフードに加工している工程でほとんどの水分は飛ぶ。
このこごはんは公式サイト上で『国産鶏肉のささみ』を使用と明言しています。ささみの水分量は約75%
つまり・・・実際の栄養源としての第一原料は少ない。って事です。これが国産プレミアムドッグフードのパッと見よく見えるカラクリの1つ。
第一原料が新鮮な生の鶏肉を使用しています!!
みたいに言われると良いイメージがあるじゃないですか?そこをうまく広告に利用しています。
親切なドッグフードだと動物性タンパク源の配合割合まで記載しているものもあります。%表示するとこの誤魔化しにくくなるので、ドッグフードの品質をより正しく評価できますが、現状%表示までしっかりしているものは国産ドッグフードではほぼありません。
ちなみに%表示までしっかりしている原料表示の例を紹介すると、例えば『モグワン』などがそうなります。これもこのこごはんと同じくドッグフード評価サイトではSランクだの絶賛されているフード。でもこれについては理解できると当サイトでは評価しています。
モグワン
チキン&サーモン56%(チキン生肉21%、生サーモン12%、乾燥チキン12%、乾燥サーモン7%、チキングレイビー2%、サーモンオイル2%)、サツマイモ、エンドウ豆、レンズ豆、ひよこ豆、ビール酵母、アルファルファ、ココナッツオイル、バナナ、リンゴ、海藻、クランベリー、カボチャ、カモミール、マリーゴールド、セイヨウタンポポ、トマト、ショウガ、アスパラガス、パパイヤ、グルコサミン、メチルスルフォニルメタン(MSM)、コンドロイチン、ミネラル類(亜鉛、鉄、マンガン、ヨウ素)、ビタミン類(A、D3、E)、乳酸菌
第一原料が生肉を使っているアピール・・・悪いとは言いませんが、そこまでアピールするレベルの話ではない。って事です。
%表示をしていないという事はいくらでも誤魔化せます。実質的な主原料は第一原料の次に表示されている玄米や大麦など植物性の原料となる。これは国産プレミアムドッグフードでよくあるパターンです。
ドッグフードの原料表にはペットフード公正取引協議会によって5%ルールが定められている
第一原料が生肉であっても実質的にはその次の植物性原料が主原料になっている。そのカラクリがわかって頂けたかと思います。
次にその他に配合されている原料を見ていきましょう。もう1度このこごはんの原料表示を見てみると、真ん中あたりに『鹿肉』『まぐろ』が表示されているのがわかります。
鶏肉(ささみ、レバー)、玄米、大麦、ビール酵母、鰹節、米油、乾燥卵黄、鹿肉、まぐろ、青パパイヤ末、モリンガ、さつまいも、わかめ、昆布、乳酸菌、セレン酵母、L -トレオニン、ミネラル類(牛骨未焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB12、パンテトン酸カルシウム)
何度も言いますが、ドッグフードは『配合割合が多いもの=重いもの』から順に記載するルールがある。つまりこの順番だと大した量ではない。だって乾燥卵黄より下に表示されている。乾燥卵黄ってその名の通り卵黄から水分を飛ばして粉状にしたものです。
鹿肉、まぐろは鶏肉と同じく水分が豊富に含まれていますよね?つまり重い。なのにこの順番・・・って事は大した量は配合されていないとわかります。
で、ここで5%ルールというものがあります。ドッグフードって『ペットフード公正取引協議会』によって表示状のルールが定められており、ペットフードの表示に関する公正競争規約にはこう定められています。
要するに凄く原価が高くて良い原料だけど耳かき一杯だけ配合。高品質な原料使ってますよ!!このような誇大広告を防止するためにルールがあるという事ですね。
なので『このこごはん』がこのルールを守っていると仮定すれば『まぐろ』『鹿肉』が5%以上は配合されているはずです。
実際にこのこごはんでは公式サイトで鹿肉・まぐろの使用をバリバリアピールしています。
鹿肉もまぐろも水分量は70%以上あります。さて、鰹節とかふわふわですよね?それよりも下の位置にある。どう頑張っても5%そこら。それってアピールするレベルのものなの??
って事です。
まあその他原料を考慮すると5%入っているかも疑問ですけどね。これは%表示していないので信じるしかない。
いかに%表示する事が重要かわかってきたかと思います。
無添加という表示は誤魔化し|ビタミン・ミネラルは合成したプレミックスを使用
主原料についてのカラクリは理解して頂けたかと思います。
水分量を多く含む生肉のみ配合。最終製品になる頃には水分が飛ぶので実質的には植物性原料が主原料。事実このこごはんの場合、保証成分値でのタンパク質は21.3%とそう高い数値ではありません。動物タンパク源はほとんど水ですからね。
海外製のプレミアムドッグフードなどはタンパク値を維持するため乾燥させた肉を使用しています。先に乾燥させて水分飛ばしておけば栄養素が濃縮されるって事。
『新鮮な生肉』と『乾燥肉』、どっちがイメージ良いですか??
イメージ戦略ですね!!
そして最後に添加物の部分。よく無添加って記載しているものありますが・・・あれは誤魔化しです。正しくは『合成着色料』『人工酸化防止剤』などが無添加であって、完全な無添加ではない。
このこごはんの原料表を見てみると・・・
鶏肉(ささみ、レバー)、玄米、大麦、ビール酵母、鰹節、米油、乾燥卵黄、鹿肉、まぐろ、青パパイヤ末、モリンガ、さつまいも、わかめ、昆布、乳酸菌、セレン酵母、L -トレオニン、ミネラル類(牛骨未焼成カルシウム、卵殻未焼成カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸亜鉛、ピロリン酸第二鉄、グルコン酸銅)、ビタミン類(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンB2、ビタミンB12、パンテトン酸カルシウム)
この部分です。いや、どう考えても合成のビタミン・ミネラルですよね?これについては公式サイトにも小さく注意書きがしており、『食材だけでは1日に必要な量を補う事が難しいため、ビタミンとミネラルのみ合成物を使用しています』と書いています。
書いていますけど、めっちゃ堂々と無添加!!!ってアピールしている。これってどうなん??って思いません??分かりやすいので『このこごはん』を例にしていますが、国内プレミアムドッグフードはほぼ全てこんな感じです。
ただこれは仕方ない面もあるにはある。ビタミン・ミネラルについては確かに原料由来でAAFCOの基準値を満たすのは非常に難しい。総合栄養食として販売するにはAAFCOの基準値を満たす必要があるのでどうしても合成物を使ってしまう。
AAFCOとは
AAFCO(読み方:アーフコ、アフコ)とは、全米飼料検査官協会(The Association of American Feed Control Officials)の略称。ペットフードの栄養基準や原材料、表示に関する基準を公表している米国の団体。日本でもAAFCOの基準を使われており、『総合栄養食』として販売するにはAAFCOの基準を満たす必要がある。
総合栄養食:ペットフードのうち、犬又は猫に毎日の主要な食事として給与することを目的とし、当該ペットフードと水だけで指定された成長段階における健康を維持できるような栄養素的にバランスのとれた製品
AAFCOの基準満たすのって正直簡単なんですよ。ドッグフードにおいて最も原価が高くなる部分は動物タンパク源です。つまり肉や魚ですね。AAFCOのタンパク基準値は19%なのですが、これは乾物重量での計算値。つまり水分がない状態の数値です。
ドッグフードって水分含まれていますので、湿物重量となります。湿物重量を乾物重量に計算し直すとタンパク値は当然ですが高くなります。計算式はこれ。
(表示上のタンパク値)÷ (100−表示上の水分値)× 100
このこごはんは表示上のタンパク値が21.3%、水分値が10%なので(21.3)÷(100-10)×100=23.7%
ちょっと高くなるでしょ?この程度の配合設計でも余裕でクリアできる数値。脂質なんかは何かしらの脂を配合すれば良いだけですし、主要な栄養素については簡単です。
そして問題のビタミン・ミネラルですが、これは足りない物を添加しておけば良い。
ちなみにビタミン・ミネラルの合成物はプレミックスと言って事前に均一になるよう混ぜられたものが飼料用添加物として販売されています。こちらの記事で『中身ほぼ一緒でパッケージ変えたものばっか』と言いましたが・・・
よーくビタミン・ミネラルの表示をチェックすると使っているプレミックス・・・同じやつが多いんですよ。プレミックスと言っても色々種類はあります。
普通はわんこの健康の事を考えて原材料の配合割合を決めた。しかしどうしても足りないミネラル・ビタミンがある。では足りないものを強化するとなると・・・プレミックスも内容変わると思いません??でも一緒。
まあ原材料自体がほぼ一緒なのでプレミックスも一緒になるのは当然ですけどね・・・笑
ちなみに原料由来の栄養素だけでビタミン・ミネラルについてもAAFCO基準値をクリアできるのか?つまり真の無添加って可能なのか??
実は可能です。だが国産ドッグフードだとおそらくない。
海外製でも私が知っている限りは1つしかない。『CARNA4』ってドッグフードでカナダ産のものとなります。
この原料表示凄いですよ。めっちゃシンプル
CARNA4
チキン(Fresh chicken)、チキンレバー、鶏卵、有機大麦の発芽種子、サーモン、サツマイモ、玄米、有機発芽亜麻仁、有機発芽レンズ豆、有機発芽エンドウ豆、ポテトスターチ、リンゴ、ニンジン、海塩、昆布(原材料の全ては採れたて新鮮で人が食す物を贅沢に使用しています)
これだけ。完全に無添加なので原料表示が短くなります。本当の意味で無添加のものってのはこういうドッグフードの事を言います。でもあまり有名じゃないですよね?何でか?アフェリエイト案件がないからです・・・笑
ちなみにこれ海外だとめちゃくちゃ評価が高いです。他にこんなフードないので。
高いですけどね。楽天で6,875円/1.36kg(税込)もします。kg単価にすると5,055円/kg。ちょっと高すぎて私は手が出せませんが・・・笑
以上、こんな感じで『広告に適した売れるためのプレミアムドッグフード』が作られる訳です。
別に良いんですよ。中身が悪いって訳じゃなくて『普通』です。愛犬の健康上問題が発生する訳でもない。でも誇大広告過ぎます。
そして何より製品性能に対して価格が高過ぎる。さっき紹介したCARNA4ってフードなんかは価格だけ見ればもっと高いですが、高い理由がわかる。あれエクストルーダーすら使っていないですからね。栄養素の劣化防止のために。
わたし別に海外製ドッグフード推しって訳じゃなくて国産のものはもっと頑張って欲しいと応援しているんですよ。でも現状こんな感じじゃ差は開く一方。本気で試行錯誤して考え抜いた国産ドッグフードって・・・マジでないですからね・・・
株式会社 金虎さん、この記事読んでいるなら貴社には期待しています!!頑張って下さい!!
では今回はここまで。当サイトではこのように売れやすいドッグフードを綺麗事並べてお金儲けするのではなく、製品性能を『公平』に評価しています。こちらで公平に評価したランキング記事を作っていますので(ランキングは随時更新)、ドッグフード難民の方はぜひ参考にしてみて下さい。
→ドッグフードおすすめランキング表|6項目で公平な評価をしています